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舛添氏に逃げられた東大と野茂氏に逃げられた球界はよく似ている。大谷クンをそんな心境に絶対追い込むな!

 

 新しい東京都知事に就任した舛添要一氏が、元東大助教授(現在なら准教授)で、89年にそのイスを蹴って外の世界に飛び出したことは、よく知られたことである。

 飛び出したときの捨てゼリフを筆者はよく覚えている。それは次のようなものだった。

「東大の教員のぬるま湯体質にはあきれる。教員になって60歳で退官(当時)するまで1冊の本も書かないヤツがいるんだ。とんでもない話だ。オレは東大と心中するつもりなんかないよ!」

 捨てゼリフというよりは、啖呵というべきか。舛添氏と東大法学部で同級生だったのは、あの鳩山邦夫氏。鳩山氏は、法学部をトップで卒業。舛添氏は同級生の中で最もブリリアント(才能が光り輝いている)な男と言われたそうな。つまり、東大としては何としても大学に残ってほしい2人だったハズ。その2人が、ともに東大にバイバイしたのは、多分、その内部が舛添氏が切った啖呵のような世界だったからだろう。さらに、学問に励むよりは、「学内政治」に憂き身をやつすような人々の世界――。

 なんて書くと東大関係者が怒り出しそうだが、実は怒ってほしいのは、プロ野球関係者である。ここまでは、この人たちへの“あてつけ”なのだから。舛添氏がそうしたように、今年野球殿堂入りした野茂英雄氏が飛び出したのをもうお忘れですか、と筆者は言いたいのだ。舛添氏は厚生労働大臣としてラツ腕をふるい、今回、五輪を控えた東京都のトップに。野茂氏は、アメリカの野球殿堂にも入ろうかという存在に。つまり、東大もプロ野球も絶対に失ってはならない人を失ってしまったのだ。「野茂氏が日本でプレーし続けたら、あんな存在にはなれなかっただろう」と言う人もいるだろうが、さかしらで物を言ってもつまらない。「なれた」かもしれないではないか。

 それはともかく、2年目を迎えた日本ハム大谷翔平投手の扱い(マスメディアも含む)を見ていると、プロ野球はまた、失ってはならない人を失うように仕向けていると嘆かざるを得ないのである・・・

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岡江昇三郎のWEEKLY COLUMN

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プロ野球観戦歴44年のベースボールライター・岡江昇三郎の連載コラム。

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