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野球用語の日本的変形を愛する
「バン“ド”」だって「デッドボール」だっていいじゃないか
「シュート」を「ツーシーム」にしないでくれ!

 

上半身をひねりにひねり、シュートを投げまくった巨人城之内邦雄投手。「ツーシームを投げまくった」ではサマにならない


 先日、久しぶりで懐かしい“発音”を聴いてしまった。それは「カナブリ」。かなり年配の人たちが、昔よくこう発音していたものだった。

 何のこと? これは「空振り」のこと。高名な野球解説者の口から、しかもメジャー・リーグの中継中に出たので、そのミスマッチが何だかとてもおかしかった。これも高名な野球解説者だが、相変わらず「バンド」を連発する人がいる。もちろん、「バント」のことである。

 このお2人、頭の中ではちゃんと「カラブリ」「バント」と発音しているのだが、口の方が裏切って「カナブリ」「バンド」の発音になってしまうのである。これは子どものころに身に(口に?)ついてしまったものなのだろう。筆者の子どものころ、ソフトボール少年たちは「チェンジ」を「キンジ」と発音していた。まだ英語を習っていないので「チェンジ」と発音するのが、なかなか難しいので、子ども流に発音しやすくしてしまったのだろう。同級生に長谷川金次というのがいて、ソフトボールが空っ下手だったので「金次が打つとすぐキンジ」とよくからかわれていた。

 それはともかく、「カナブリ」も「バンド」も、子どもには「カラブリ」や「バント」よりも、口にしやすいのはたしか。「カラ」よりは「カナ」の方が、かたかな、ひらがなという言葉を知っている分、発音が身近だし、「バンド」はいつも腰にあるものだから「バント」より発音しやすい。

 もっとも、野球用語でも、原音に近い発音を保っているものもある。それは「ストライク(STRIKE)」。こちらには・・・

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岡江昇三郎のWEEKLY COLUMN

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プロ野球観戦歴44年のベースボールライター・岡江昇三郎の連載コラム。

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