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西本幸雄監督の選手への愛情は「母の弁当」ではなかったか。まさに、これに勝るものなし――だった

 

 読者は母親の愛情を、どんなときに感じただろうか。筆者の場合は、学校に持たされた弁当に、だった。もっとも、それは、ずっと後年に感じたことなのだが。

 小学校1年生からご飯とおかずは、別々の容器に持たされた(筆者は学校給食の経験がない)。ほとんどの子どもは弁当のご飯の上におかずをのっけてきた時代である。タッパーというのが出始めたころ、母は真っ先に買い求め、それにおかずが詰め込まれていた。

 しかし、なぜかご飯は麦入り。「栄養がある」という理屈だったが、農家の子が真っ白なご飯を持ってくるのがうらやましくて仕方がなかった。中学に入ると、福島市から転校してきた生徒が、タラコを焼いたのをおかずに持ってきた。これが実にうまそうだったので、母に「タラコが食いてえ」と言ったら「そんなのは、スジコのにせものだ。家では食わねえ」とハネつけられた。なるほど、我が家ではひんぱんにスジコは食卓にのぼったが、タラコの姿は見たことがなかった。おにぎりと言えば、必ずスジコ入りだった(これはどうも母の大好物だったらしい)。

 一番ビックリしたのは、高校生のとき、「今日は忙しくてオカズを作れねえから、これ持ってけ」と牛肉の大和煮の缶詰と缶切り、それに、スティックチーズを渡されたことだった・・・

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岡江昇三郎のWEEKLY COLUMN

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プロ野球観戦歴44年のベースボールライター・岡江昇三郎の連載コラム。

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