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岡江昇三郎

“トリプルスリー”今昔。簑田(阪急)の30年ぶりと秋山(西武)のメジャー級評価で3・3・3が初めて大きな話題に。ミスターも神様も「あと1本」

 

 山田哲人(ヤクルト)と柳田悠岐(ソフトバンク)の、いわゆる“トリプルスリー”達成はまず間違いないところだろう。

 この3・3・3は、いつごろからプロ野球の大きな話題となったのか。これはやはり、簑田浩二(阪急)の30年ぶりの達成(83年)と秋山幸二(西武)が「最もメジャーに近い男」と言われるようになったころ達成(89年)したのが、2大インパクトとなって3割・30本塁打・30盗塁の同時達成は、プロ野球選手の理想と言われるようになったのだと思う(トリプルスリーという表現は2000年代に入ってから一般的になった)。

 秋山の場合、90年に51盗塁でタイトルを獲得したほどのスピードプレーヤーだから、達成は当然と思われたが、簑田の場合は、「まさかこんな選手になれるとは」の感じだった、少なくとも筆者には。77年の巨人との日本シリーズでの好走塁で脚光を浴びた簑田だったが、体が174センチと小さく、長打力は期待できない。77年は74打数で本塁打はわずかに1。翌78年は外野のレギュラーとなり、規定打席に達して打率.307をマーク。盗塁は前年の7から一気に61まで伸ばした。打率、盗塁なら、いつでも3・3オーケー、そう思った。しかし、本塁打は17。それを30まで伸ばすのは、かなり厳しいのでは……。

 ところが、80年には31本塁打。比較的狭い西宮球場での本塁打の打ち方を身につけたようだ。しかし、翌81年には10本塁打と激減。実は、問題だったのは打率の方で79年から4年連続で2割台。なかなか3割台をマークできなかった。80年に31本塁打したのは先に書いたが、この年、盗塁も39。チャンスだ!しかし、打率が.267ではどうにもならなかった・・・

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プロ野球観戦歴44年のベースボールライター・岡江昇三郎の連載コラム。

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