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岡江昇三郎

ノーベル賞が“地方の時代”に入っているのにプロ野球は依然として「学閥」と「仲良し派閥」が支配する中央集権社会

 

ソフトバンクは、数少ない、実力主義、能力主義の球団だ。写真は工藤公康監督[写真=湯浅芳昭]



 今年もノーベル賞の受賞に日本中が沸いたが、医学生理学賞の大村智さんが山梨大、物理学賞の梶田隆幸さんが埼玉大と地方の国立大出身であることも話題になった。朝日新聞などは、10月8日付で「ノーベル賞 地方大学に夢」の大見出しで特集的な紙面づくりをしていたほどだ。昨年の物理学賞の中村修二さんも徳島大出身だ。

 これまでは東大、京大など旧帝大、東工大などの戦前からの有名大に集中していたノーベル賞受賞が、いまはどんどん地方の大学に広がっている。“地方の時代”は始まっているのだ。そうそう、08年の化学賞の下村脩さんも、戦前からの長崎医大出身だが、たしか同大の専門部(専門学校扱い)。いわば傍系の人たちなのだが、山梨大、埼玉大、徳島大は、戦前はいずれも大学ではなく旧制の高等学校か専門学校。帝大系から見れば傍系の大学、そこの出身者がどんどんその才能を開花させている。これは実に頼もしい限り。

 ここでいつもの筆法で、さてわがプロ野球は、と話を運んでみたい。これが残念ながら、依然として「学歴」と「派閥」が支配する世界なのです。とくに球団首脳の世界でそれが顕著だ。今季の12球団の監督を見てみると、大学出が5人。高校出が7人。「オッ、学歴社会は、かなり解消してるじゃない」と思う読者もいるかもしれないが、たしかに学歴社会の色は薄れているが、「学閥社会」は崩れていない。球団上層部(オーナー、会長、社長、代表レベル)は、ほとんど有名大出ばかり。まあ、ここまでは、一般社会と同じだが、プロ野球の世界の違うところは、現場出身の人が、ほとんど入り込めない世界であることだ。

 球団上層部の人たちの出身大学はさまざまなのだが・・・

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プロ野球観戦歴44年のベースボールライター・岡江昇三郎の連載コラム。

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