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岡江昇三郎

「アンチ巨人」を考える。石田雄太さんの言うように“絶滅危惧種”なのだが、昔はプロの世界(ほぼイコール巨人)の横暴に対する一大抵抗勢力だった

 

 旧臘から気になっていることがある。12月28日号の石田雄太さんの「閃球眼」で“アンチ巨人絶滅論”がテーマになっていたことだ。本当のアンチ巨人がいなくなったということは、プロ野球にとって大きな問題であり(スーパースターの不在とプロ野球への無関心)、特に巨人にとっては由々しき一大事だ、というのが、その趣旨だが、実は、これに関しては、豊田泰光さんが、もう20年以上前に「アンチ巨人のいない、いまのプロ野球はつまらん!」と、怒っていたのである。

 どう「つまらん!」のかは、豊田さんの年代、筆者の年代、石田さんの年代で、微妙に違っているのだが(この3人の年代差、うまい具合に14、15年差になっている。豊田=1935年生、岡江=1949年生、石田=1964年生)、共通するのは巨人のあの“横暴さ加減”を知っていることだ。

 豊田さんは、いわゆる“別所強奪事件”の49年は14歳。早生まれだから多感な中学3年生。巨人のやり方に落胆したハズである。18歳になると、その事件の“張本人”である三原脩監督の西鉄に入団。そして、56年から、日本シリーズで巨人相手に3連覇。川上哲治の名しか知らなかった、田舎の巨人ファンは、何やら複雑怪奇なコースをたどって、巨人が好きなのか嫌いなのか分からなくなっていった。

巨人・高橋由伸監督は、アンチ巨人が退潮を始めたころ(98年)の入団だが、抵抗勢力が消えたいまはやりやすいのか、やりにくいのか?



 筆者は、その西鉄3連覇のころ、プロ野球に興味を持つようになった。といっても巨人で興味があるのは長嶋茂雄のみ。そのカウンターパートとして西鉄・稲尾和久だけは忘れるワケにはいかない。要するに、長嶋と、その真の敵にしか興味がないのである。これは、田舎で育った団塊の世代のプロ野球(巨人)ファンに共通の特殊な偏向だった。だから、巨人が勝っても、長嶋が打たなかったらちっとも楽しくなかった・・・

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プロ野球観戦歴44年のベースボールライター・岡江昇三郎の連載コラム。

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