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岡江昇三郎

戦闘機のパイロットや“無頼派”の文士が使って有名になった覚醒剤。1度使えば破滅――。だれも清原に教えてくれなかったのか……

 

清原容疑者[写真=湯浅芳昭]は、才能だけでやれる段階から上にのぼるための「本を読む」ことを忘れていた



 覚醒剤取締法違反(所持)の疑いで2月3日に逮捕された清原和博容疑者(元西武ほか)=以下清原、のち使用の疑いで再逮捕=については、口の中でキヨ……とつぶやくだけで気が滅入ってくるので、できれば触れたくなかったのだが、やはり書かざるを得ないだろう。

 覚醒剤とは、日本ではもともと戦闘機のパイロット用だったという話を父から聞いたことがある。筆者の父が海軍予備学生で、終戦時は、海軍航空隊の局地戦闘機雷電の整備将校だったことは、ここで書いた記憶があるが、とにかく戦闘機のパイロットは特別扱いで、必ず朝食には玉子2個。トンカツなども出たという。これは、いつ襲ってくるか分からない敵機に備え、常にスタンバイOKでいなくてはならず、ロクに眠ることもできない彼らへの“特別手当て”だった。手当てと同時に支給されたのが覚醒剤だったという。眠気をとり、「さあ、飛ぶぞ!」とハイにするための薬だった。しかし、覚醒剤も、パイロットたちの恐るべきストレスをすべて取り去ってはくれなかった。「突然、回転しているプロペラに突進して、右手を吹っ飛ばしたヤツがいた。もう操縦桿を握りたくなかったんだな。3日後に終戦だよ」と父。しょせん薬頼みは薬頼みにすぎなかった。

 父の想像だと、戦後、この軍の覚醒剤が巷に流れ出し、だれでも使うようになったらしい。いわゆる“無頼派”の文士たちが常用し、さる有名な流行作家はヒロポン(覚醒剤の一種)の使用を隠さなかった。この作家は50歳まで生きられなかった・・・

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プロ野球観戦歴44年のベースボールライター・岡江昇三郎の連載コラム。

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