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野村克也の本格野球論

野村克也が語る「プロ野球への嘆き」

 

技術力の限界から上がプロフェッショナルの世界


 今年、ホークスが球団創設75周年を迎えた。私より若かったんだな(笑)。プロ野球誕生は昭和10(1935)年だから、私と同い年だ。これも何かの因果だと思う。「お前は野球をやりなさい」という星の下に生まれたのではないか、と。

 それなのに最近野球を見ていても、ワクワクしない。むしろ、腹が立つ。行きたくないんだ、球場へ。「何を考えているんだ」「何をやっているんだ」とボヤキっぱなしで、ストレスがたまる一方なのだ。

 技術力には、限界がある。球速160キロの球など簡単に投げられないし、日本では打率4割を残した選手もいない。その限界から上が、『プロフェッショナルの世界』だと私は思う。専門家を「ああ、いいところを突いているな」「いい考えを持っているな」とうならせるのが、「さすがプロ」という『プロフェッショナルの世界』だ。ファンに野球を見せている以上、それを感じさせなければプロ失格だ。

 少し前だが、巨人阪神戦でこんなシーンがあった。8回裏、巨人の攻撃。巨人は0対1で負けていた。マウンドは、阪神先発のスタンリッジだ。一死後、代打・高橋由伸がレフト前ヒットで出た。ここで巨人は代走に鈴木尚広を送る。

 一死一塁。ここで打席に入ったのが一番・長野久義だ・・・

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野村克也の本格野球論

野村克也の本格野球論

勝負と人間洞察に長けた名将・野村克也の連載コラム。独自の視点から球界への提言を語る。

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