本塁打、速球への欲を捨てさせること
プロ入りしてくるバッターはアマチュア時代、クリーンアップを打っていた選手がほとんどだ。だが、その多くはプロとしてみれば、強打者にはあたらない。
しかし人間、誰しも欲がある。ホームランの快感。あれは、一度経験した人間には忘れ難いものだ。いつまでも、それに酔いしれる。ピッチャーにとっての速い球も同じ。速い球を投げたいと、永久に願う。
遠くへ飛ばす、速い球を投げるという才能は、親からもらった天性のものだ。私はそれに取りつかれた選手に出会うたび、そう諭してきた。「そんなものに、未練を持つな。いくら努力したってできるものじゃない。あきらめろ」と。
南海監督時代の1969年、近大からドラフト4位で
藤原満が入団してきた。この藤原、近大では三番を打っていたそうだが、どう見てもホームランバッターではなかった。そこで運動具屋に頼み、野球規則ギリギリの太さの『すりこぎバット』を作ってもらって、藤原に渡した。
「お前、これを使うんなら、今日スタメンで使ってやる」
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