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野村克也の本格野球論

野村克也が語る「短期決戦の戦い方」

 

現場の人間にとって、CSほど不条理なものはない


 私はクライマックスシリーズ(CS)という制度には、大反対だ。現場の人間として、ましてや監督として、あんな不条理なことはない。144試合を必死に戦い、トップに立ったというのに、たった6勝が日本シリーズ出場権を分けてしまう。

 2010年など、ロッテがシーズン3位から日本一を勝ち取った。『史上最大の下克上』と呼ばれたが、私を含めた外野はもちろん、プレーしていた当の選手たちもピンとこなかったはずだ。山場を2つ作って、観客動員を増やす。商売としては、結構な話だろう。しかし、CSとシーズン144試合はまったく別物だ。「監督として短期決戦を戦うのは、難しいものですか?」と、よく聞かれる。「難しいといえば難しいが、144試合を戦うよりはやさしい」が、私の正直な答えだ。ただし、「いいピッチャーがいれば」。

 野球は0点に抑えれば、100パーセント負けないゲームだ。その「0点に抑える」主役はピッチャー。短期決戦なら、余計ピッチャーの比重が高くなる。今季のCSではセ・リーグ3位ながら、広島の投手力が巨人を脅かしそうだ。なんといってもエース・前田健太の存在が大きい。

 あとは、チームがいかに一丸となれるかだ。現場から裏方まで、全員が「0点に抑える」努力をすることだ。有益な情報集め、選手のコンディション調整など、裏方の全面的な協力は不可欠である。

 昔は今以上に、短期決戦におけるピッチャーの存在が大きかった・・・

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勝負と人間洞察に長けた名将・野村克也の連載コラム。独自の視点から球界への提言を語る。

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