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野村克也の本格野球論

野村克也が語る「監督業の基本」

 

優勝するための条件とは「連敗をしない」こと


「極端に言うと、ゼロに抑えれば負けることはない。まずはピッチャーをきっちりしなければいけない」

 中日谷繁元信兼任監督が就任会見で、こう語ったそうだ。いかにもキャッチャーらしいコメントだ。

 現代野球は情報戦。チーム一丸、どれだけ戦力になる情報を集められるかが、大きなウエートを占める。谷繁の言うとおり、野球は0点に抑えれば100%負けないスポーツだ。だからチーム全員が──ピッチャーも、野手も、裏方も、各自の持ち場で、その試合を0点に抑えるべく努力する。そこで全員が同じ方向を向いているかどうかが、チーム状態を決めるのだ。

 人間、楽をしたいという本能があるから、どうしても「点を取らなければ勝てない」などと言って、攻撃野球を好むようになる。しかしチームが苦しいとき、いかに1対0で逃げ切るか。そんな勝ち方で絶不調の時期を乗り越えられたチームこそ、優勝という栄冠を得るものだ。『ペナントレース』は、マラソンと同じ。マラソンは42.195キロの終盤に差し掛かる35キロあたりが一番苦しい。ペナントレースなら8月、9月。その苦しい時期に1対0で勝つ試合運びができるよう、キャンプの時点から態勢を作っておかなければならない。

 それにはまず・・・

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野村克也の本格野球論

野村克也の本格野球論

勝負と人間洞察に長けた名将・野村克也の連載コラム。独自の視点から球界への提言を語る。

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