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野村克也の本格野球論

野村克也が語る「わが息子」

 


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藤川球児の持って生まれた速球が楽しみだった阪神時代


 MLBレンジャーズを自由契約になった藤川球児が、独立リーグ(四国アイランドリーグplus)の高知ファイティングドッグスに入団した。

 藤川は、私が阪神監督に就任した1999年のドラフト1位だった。初めて藤川に会ったとき、あまりにガリガリで細いものだから、思わず「お前、メシ食ってんのか?」と聞いてしまった。ちょうど横にお母さんがいたので、「ちゃんと食べさせてますか?」と念押ししたほどだ。

 藤川は1年目を体力づくりにあて、2年目、一軍に呼んだ。ちょうど骨格がしっかりし、体の大きくなる時期だった。楽しみなピッチャーだった。何より一軍のピッチャーに必要な“ある要素”を持っていた。それは、“自信家”であること。ピッチャーにとって、最も大事な精神力。入団時から「打つなら打ってみやがれ」という気持ちのこもったピッチングをしていた。真っすぐ1本やりで、相手がそれを待っていてなお、ボンボン放り込む。相手バッターの打ち取り方、配球といった細かいことは一切なく、素質に任せてブンブン投げ込んでいた。

 しかし、先天的に持っている速球だけで通用したのは、ある意味具合が悪かった。成長の元になるのは失敗である。私がいつも言うのは「“失敗”と書いて“成功”と読む」。それほど失敗から学ぶことが多い。天性だけで失敗がないから、それ以上には伸びないのだ。「人を見て法を説く」とはよく言ったもので、こういうタイプは大概うぬぼれ屋で、アドバイスを真摯に受け止めない。監督、コーチなど指導者にはあまり向かないタイプであるが、藤川の未来はどうだろう。

 わが息子・克則(現・東京ヤクルト一軍バッテリーコーチ)は、残念ながら親から先天的に鈍足を受け継いだ・・・

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勝負と人間洞察に長けた名将・野村克也の連載コラム。独自の視点から球界への提言を語る。

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