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野村克也の本格野球論

野村克也が語る「森友哉」

 

“スピード”は努力で埋まらない天性の能力


 西武森友哉が今年のオールスターゲームに、史上最年少(19歳)での最多得票にて選出された。体は小さいが、スイングスピードが速い。あれは楽しみだ。“スピード”は皆、天性のものだ。スイングが速い、足が速い、球が速い。これらはすべて、天性のものだと私は思っている。“遠くへ飛ばす能力”も同じ。努力しても埋まらない。

 だから監督時代、いつもスカウトに言っていたのは、「球が速い、足が速い、肩が強い、遠くへ飛ばす。そういった天性の能力を持つ選手を取ってきてくれ」というとだった。努力してどうにかなる部分は、こちらで教えてなんとかする。しかし、努力してできない分野に関しては教えようがなく、半面、監督に一番アピールしやすいのは残念ながらその部分なのである。

いずれ三冠王を獲得してくれるか――。森の今後に注目したい[写真=小山真司]


 私自身、もっと足が速ければ良かったとか、肩が強ければ良かったと思わないでもないが、欲を言ったらキリがない。足が速い、肩が強いはプロ野球選手の最低条件。だとすれば、そのどちらも持ち合わせていない私はよくやってきたと思う。肩の弱さは、モーションを速くすることで補った。天賦の持ち合わせがないぶん、ピュッと速く投げるための練習ばかりしていたのを思い出す。

 森も、私と同じでさほど強肩ではないと聞いている。それでも森は、キャッチャーとして守らせながら育ててほしい。森に関して私の最大の不満は、DHで使われていることなのだ。プロ野球選手として、打つだけではバランスが悪い。そもそも私は、DH制に反対だ。野球は9人でプレーするのがルールである。

 交流戦の間、森はライトを守っていた。果たして本人は、どのポジションが一番好きなのか。「好きこそものの上手なれ」で、キャッチャーが好きなら、キャッチャーをやらせるべきだと私は思う。プロは・・・

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野村克也の本格野球論

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勝負と人間洞察に長けた名将・野村克也の連載コラム。独自の視点から球界への提言を語る。

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