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野村克也の本格野球論

野村克也が語る「1年の計はキャンプにあり」

 

現役時代のキャンプは寒かった思い出ばかり


 一般社会では、『一年の計は元旦にあり』という。これをプロ野球界に置き直すと、『一年の計はキャンプにあり』になる。結果論として、キャンプが充実した年は、チームの成績も良い。

 しかし上に立つ者の怖さが、監督にはある。日本一になって、ホッとする。気が緩む。すると口には出さずとも、その気持ちの緩みが選手に伝わってしまう。そしてチーム全体の気が抜ける。

 昔の人は、良いことを言ったものだ。「勝って兜の緒を締めろ」と。勝てば勝つほど、厳しくしなければならない。そういう意味で、川上(哲治=元巨人監督)さんは徹底していたと思う。外野雀の中には「あれだけのメンバーをそろえれば、誰が監督をしても優勝できる」と言う者もいるが、9連覇がどんなことか、よく考えてみたらいい。

 私が監督時代のキャンプで大成功だったのは、ヤクルト1年目(90年)のアリゾナ・ユマキャンプだ。あれは良かった。遊びに行くところもなく、まさに24時間野球漬けの環境だった。若松(勉=元ヤクルト監督)も続けるかと思ったら、1年でやめて沖縄に変えてしまっ。本来、苦しいことには好んで入っていかなければならない。そのあとには楽が待っている。苦しいことを乗り越えないと、楽は永遠に来ないという原理だ。若松は、あの“苦”なくして、よく日本一になれたものだ。

ヤクルト監督時代はユマでキャンプを行っていたが現在、海外キャンプを張っているのは日本ハムだけか(P)URP



 一方、私の現役時代のキャンプといえば・・・

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野村克也の本格野球論

勝負と人間洞察に長けた名将・野村克也の連載コラム。独自の視点から球界への提言を語る。

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