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野村克也の本格野球論

野村克也が語る「人間教育」

 

プロ野球選手は「聞く、話す」に欠けている


毎年1月、NPBは新人研修を行うが期間は1日のみ。筆者はもっと長く時間を取ったほうがいいのでは、と提案する/写真=小山真司


 私がプロ入りしたときの(南海)監督は、鶴岡一人さん。以来、鶴岡監督の下で20年、選手生活を送った。鶴岡さんは、とにかく厳しかった。

 二軍にいたころ、たまに鶴岡さんが練習を見に来た。鶴岡さんがグラウンドに一歩足を踏み入れただけで、その場の空気はピリッと一変した。私も若いころは、バッティングのとき監督の顔色ばかり見ていたものだ。カーン!といい当たりが飛んだら、「監督、見ているかな?」とチラ見。今度はホームランになった、「監督、見ているかな?」とまたチラ見。それで監督が見ていなかったときの心境といったら(笑)。特に二軍や補欠の選手は、監督に見てほしい。認めてほしい。どんなに時代が変わっても、その思いだけは、変わらない。そんなとき、さりげない一言――ほめ言葉を与えてもらうと、選手は天にも昇る気持ちになり、飛躍のきっかけとなる。

 鶴岡さんに限らず、昔の監督はみな厳しかった。今は親でさえ子どもの教育をできない時代。本来、親の義務である人間教育を施さないまま、社会へ送り出してしまう。しかし、昨今はプロ野球の監督も選手の親より年下の40代と若返っている。「聞く、話す、行動する」が社会人の基本。しかし、学生からそのままプロ野球界に来るような人間は、社会人としての自覚もないだろうし、「聞く、話す」部分に欠けている。厳しい中でもまれてきたといっても、しょせん野球だけの話なのだ。社会という荒波の中でもまれてきたわけではない。だから簡単に、人の甘い誘いにも乗ってしまう。

 そういった選手たちの育成を、プロ野球界全体では昔から怠っていたと思う。ましてや・・・

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野村克也の本格野球論

野村克也の本格野球論

勝負と人間洞察に長けた名将・野村克也の連載コラム。独自の視点から球界への提言を語る。

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