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野村克也の本格野球論

野村克也が語る「本物の野球&広島」

 

アマ監督時代に感じた「これが野球だ!」


75年、広島を初優勝に導いた古葉監督。南海で“考える野球”を勉強したことが、その礎となった/写真=BBM


「本物の野球はどこへ行った!」が当コラムのタイトルであり、主題でもある。では、「本物の野球」とは何か。一つ言えるのは、野球は“団体競技”であるということだ。従って、「“団体競技”とはどういうものか」、選手それぞれが考えればいい。しかし、「一致団結」と口では簡単に言うが、これほど難しいものはない。ましてやプロの場合、そこに金が絡むからややこしい。

 私は社会人・シダックスの監督を務めたとき、「これが野球だ」と思った。打率だのなんだの、個人の数字は考えない。勝つために何をすればいいかのみに、集中する。エースも四番もベンチにいる選手も、給料はみな同じ。だから純粋に、「みんなでこの試合に勝とう」「優勝しよう」とチームが一丸となって戦う。全員が「チームの勝利」という、同じ方向を向くことができるのだ。まさに「本物の野球」がそこにあった。

 一方プロ野球では、「個人個人が成績を残すことが、チームへの貢献につながる」という考え方もある。これは正しいようで正しくない。そこを“団体競技”として正しい方向へ導くのが、監督の手腕だ。ただプロ野球は契約社会だから、そのあたりは会社としっかり連携を取る必要がある。

 守備のときはいい。チームのため、ピッチャーのために守ってやろうという意識がみな働く。問題は、攻撃だ。打率を残すこと、ホームランを打つことが、チームへの貢献につながるか・・・

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野村克也の本格野球論

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勝負と人間洞察に長けた名将・野村克也の連載コラム。独自の視点から球界への提言を語る。

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