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野村克也の本格野球論

野村克也が語る「春季キャンプと高津臣吾」

 

キャンプで新球習得に励み、のちにセーブ記録を更新


93年、キャンプでチェンジアップシンカーをマスターした高津は日本一の胴上げ投手になった/写真=BBM


 春季キャンプはプロ野球選手にとっての“元旦”である。「1年の計はキャンプにあり」というわけだ。この“シーズンのための準備期間”を、いかに有効に使うか。監督にとっても選手にとっても、キャンプの過ごし方いかんでその後のシーズンが決まってくる。

 キャンプで新球習得に取り組み、結果を出した選手といえば、ヤクルト時代の高津臣吾を思い出す。1991年、亜大からドラフト3位で入団。だが当時ははっきり言って、並のピッチャーだった。「あれがプロで通用するのか」「何がよくて獲ったんだ」と、スカウトに文句を言ったことさえある。変則モーションだから、というのが獲得理由の一つだが、正直それだけだった。

 球速はほとんどなく、変化球も横の変化が中心。ただし、コントロールは良い。編成部が獲ってきてしまった以上、監督としては与えられた戦力でやりくりするしかない。どうすれば高津が生きるか、考え続けた。入団後の2年間は先発をさせてみたが、結局3年目の93年、高津を抑えに回すことにした。彼のメンタルの強さがあれば、1イニングなら任せられるだろうと踏んだからだ。

 そうなると、あとは左対策である。横の変化球は、右バッターに対しては逃げる球になるからいい。しかし同じ球が、左バッターにとっては内へ入ってくる球になる。それではカモにされるだけだった。「左バッター対策を真剣に考えろ」と言って強制的に・・・

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勝負と人間洞察に長けた名将・野村克也の連載コラム。独自の視点から球界への提言を語る。

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