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野村克也の本格野球論

野村克也が語る「開幕戦(2)」

 

ユニフォームを着ているとき、「1」にはこだわってきた/写真=BBM


開幕投手の初球はやはりストレート


 この原稿が読者の目に触れるころ、いよいよ2017年のプロ野球も開幕だ。そこで前回に続き、今回も開幕戦にまつわる話を書いていきたいと思う。

 開幕戦で、開幕投手の投じる第1球。チームにとって、シーズンの幕開けになる第1球だ。それをことさら意識したわけではないが、振り返ればやはり“真っすぐ”のサインを選択することが多かった。速球派、技巧派問わず、シーズンの初球は真っすぐから入った。

 実際、トップバッターも初球を打つか打たないか、それなりに考え、悩んでいるはずだが、開幕戦の第1球、ガツーンとヒットを打って、塁に出るのはなんとも爽快で、格好もいい。それを求めてか、初球から打ってくる選手が明らかに多かった。

 数字の「一」は、「はじめ」とも読む。わが子にそう名付ける親もいる。「一」はすべての始まり。私自身、「一」という数字は大切にしている。開幕戦の初球に限らず、バッターボックスに入ってくる打者に対しての1球目は、とりわけ大事にいきたいところだ。

「一」という数字に対し、そういう信念で野球をやってきた割に、人に対する第“一”印象が――特に女性に対する第一印象が悪いのは、困りものだ。皆にあとから言われるのが、「ノムさんの第一印象はとっつきにくい」「怖い」「しゃべりにくい」(笑)。どちらかというと、人見知りするタイプ。打ち解けるまでに、時間がかかる。初対面から明るく「いやあ!」などと胸襟を開くことは、私には到底できない芸当だ。

 うっかり話が逸れてしまった。「一」は大切にしていたが、開幕戦当日・・・

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野村克也の本格野球論

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勝負と人間洞察に長けた名将・野村克也の連載コラム。独自の視点から球界への提言を語る。

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