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野村克也の本格野球論

野村克也が語る「打率4割」

 

果たして、近藤は打率4割を達成することができるか/写真=高原由佳


足腰への負担も鍛錬ととらえよう


 日本ハム近藤健介が今季、実に51試合目まで打率4割をキープしている(※17年6月8日時点、現在は登録抹消中)。

 近藤は捕手登録だが、しばしば内外野転向の話も出ているという。実際、今季も指名打者、外野手で出場しており、一度も先発マスクをかぶっていない。左ヒザ痛や腰痛の影響でコンバートするというのなら、致し方あるまい。しかし、「バッティングを生かすためにキャッチャーをやめる」のであれば、その理論は間違っている。キャッチャーをやっているほうが、バッティングは向上するものだ。

 まず配球の読みが、明らかによくなる。キャッチャーとしての経験や知識が、バッターボックスで生きるからだ。マウンドからバッターボックスまで18.44メートルの距離を、あの小さなボールが0コンマ何秒かで到達するのだ。「来た球を打つ」のは、そう簡単なことではない。

 メジャー・リーグの“打撃の神様”テッド・ウィリアムズ曰く、「スポーツの中で最も難しいのはバッティングである」。4割を打った選手の言葉だけに、説得力がある。確かにそうだ。バッティングは難しい。3割を打ったら“成功”なのだ。この広い世の中を見渡しても、「3割できれば成功」などという仕事がどこにあるだろう。

 わずか0コンマ何秒の間に真っすぐだ、変化球だ、と球種を判断しなければならないのだ。現役時代、左ピッチャーが来るとどれだけホッとしたことか。というのも、左ピッチャーならカーブもスライダーも、体のほうに向かって曲がってくるから、なんとかなる。しかしこれが右ピッチャーだと・・・

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勝負と人間洞察に長けた名将・野村克也の連載コラム。独自の視点から球界への提言を語る。

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