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野村克也の本格野球論

野村克也が語る「裏方」

 

わがプロ野球人生はほぼブルペン捕手からのスタート


「年上の女房は金の草鞋を履いてでも探せ」とは、プロ野球界でもよく言われる。社会人野球を経てプロ入りした選手はまだしも、高校、大学からストレートにプロ入りしてくる選手は、ほとんど社会音痴の世間知らず。だから世間を知り、気配りがあり、目端が利く年上女房を選べというわけだ。

 現役時代は野球さえやっていれば、なんとかなる。やっかいなのは37、38歳で野球人生が終わってしまうことである。40歳までできれば、長いほう。それでも一般社会から見れば、最も働き盛りの部課長クラスの年代に、仕事をなくすのだ。野球選手になんか、なるもんじゃない。

 そう考えると、私もここまでの人生、不平不満を言ってはバチが当たる。よくぞ今まで、野球界の中で生きてこられたものだ。

 30代に入ったとき、私はボチボチ引退後のことを考え始めた。のち兼任監督はやったが、引退した先輩方を見ていると、どこの球団も監督、コーチは大卒選手が務めているではないか。ああ、この世界も学歴社会なんだな、と思った。とすれば、自分にはもう解説者の道しかない。それなら誰にも負けない解説者になってやろう。そんな意気込みで、30代を過ごした。それがのちに、ヤクルト監督就任へとつながった。

 プロ野球選手の第二の人生としては、球団スタッフ──いわゆる“裏方さん”として球団に残る人たちも多い。

 私の場合は、むしろ出発点が裏方的ブルペンキャッチャーだった。初めて一軍キャンプに帯同させてもらったときも・・・

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野村克也の本格野球論

野村克也の本格野球論

勝負と人間洞察に長けた名将・野村克也の連載コラム。独自の視点から球界への提言を語る。

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