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野村克也の本格野球論

野村克也が語る「南海の3悪人」

 

頑固で変わりものだった門田だが、不断の努力で球界に名を残す長距離砲となった/写真=BBM


変わり者ゆえにあの成績を残した?


 来年2月10日、巨人宮崎キャンプ60周年記念「ジャイアンツvsホークスOB戦」なる催しが、KIRISHIMAサンマリンスタジアム宮崎で開かれる。私はOB代表として、ホークスのチーム総監督を務めることになった。ジャイアンツの総監督は、長嶋茂雄である。

 この話を最初聞いたとき、不思議だったのは「なぜホークスなのか」ということだ。ジャイアンツといえば、最大のライバルはタイガース。こうした記念イベントなら、なおさらタイガースだろう。しかもそこへまた、総監督が私とは……。杉浦忠皆川睦雄といったスターピッチャーがすでに他界しているため、私に回ってきたのか。

 われわれ世代のスーパースターは皆、鬼籍に入ってしまい、今回のメンバーに選ばれたのは広瀬叔功くらい。広瀬の話は最近聞いていないけれども、元気にしているということだろう。下の世代では門田博光が出場予定だが、走るのはおろか、ちゃんと歩けるのか心配だ。広瀬とも門田とも、久しぶりの再会になる。

 門田は若いころから、私の言うことをまったく聞かなかった。私から見たら、無茶ばかり。一気飲みが得意で、コーラなどの炭酸飲料でもなんでも、一気飲みをする。ゲーム中、クーラーボックスに冷やしてある炭酸飲料を一気飲みしていたから、「そういう飲み方をするな」とたびたび注意したのだが、聞く耳を持たなかった。

 彼がまだ合宿所にいたころ、電話口で荒っぽい言葉を使っているのが聞こえてきた。普段の彼にはない、乱暴でキツイ口調に私は驚き、彼が電話を切ってから「いったい誰と電話していたんだ?」と・・・

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勝負と人間洞察に長けた名将・野村克也の連載コラム。独自の視点から球界への提言を語る。

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