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野村克也の本格野球論

野村克也が語る「球界の未来」

 

今はメジャーで活躍する田中将大。一流選手がメジャーを目指すのも分かるが……/写真=Getty Images


メジャー流出をなんとか止めよう


 昨年末、『プロ野球総選挙』なるテレビ番組に出演した。その中で、ファン1万人の投票による「本当にスゴいプロ野球選手」部門の第7位、1000人が選ぶ「球史に残る名監督」部門の1位に選んでいただいた。なんとも、恐縮の限りだ。

 昭和が過ぎ去り、平成の世も終わろうとしている今、83歳の私がこうして仕事をさせてもらっているだけでもありがたいというのに。そんな名誉まで受け、ますます野球界には感謝してやまない。

 そこで新年第1号の本号、野球界への恩返しの気持ちも込め、いくつか提言をしていきたいと思う。

『総選挙』と別の番組では、落合博満と共演した。そこで、東京五輪での金メダル獲得を狙う『野村JAPAN』ベストナインを選んだ。私は先発にマー君(田中将大=MLBヤンキース)を据えたのだが、現実的にはメジャー所属の選手はペナントレース中、国際大会であっても別の大会には出場できないそうだ。

 メジャー・リーグ内の頂上決戦を『ワールド・シリーズ』と呼んでいるくらいだから、彼らにとってほかの国際大会などどうでもいいということか。私は彼らの、この『ワールド・シリーズ』という呼び方に、昔から抵抗があった。今や野球は全世界で行われているのに、言葉の選び方が間違っているだろう。まさにうぬぼれだ。

 WBCのような国別対抗戦もいいのだが、私はぜひ本物の『ワールド・シリーズ』が見てみたい。つまり、各国リーグ優勝チーム同士の頂上決戦。これは間違いなく盛り上がる。日本球界をあげて、開催を提案していってほしいと思う。

 それにしても今の日本球界、優秀な選手が毎年のようにメジャーへと流出し、活躍の舞台を広げている。そして、その選手たちの姿を見た次代の日本人選手が、またメジャー行きを目指す。日本は今、明らかに“メジャーのマイナー・リーグ化”しつつある。手塩にかけて育て上げた選手を、あっさりメジャーに獲られてしまうなど、こんなバカバカしいことはない。

 もちろん、選手の気持ちは分からないでもない。メジャーの・・・

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野村克也の本格野球論

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勝負と人間洞察に長けた名将・野村克也の連載コラム。独自の視点から球界への提言を語る。

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