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野村克也の本格野球論

野村克也が語る「広島&阪神」

 

矢野監督は選手たちに“子どもの野球”で臨むべきではないか/写真=佐藤真一


優勝の翌年は戦い方が難しいものだが……


 この原稿を書いている時点で、依然広島は最下位だ。一体どうしてしまったのか。3連覇を果たした昨年との戦力の違いは、丸佳浩がFAで抜けただけ。それが最下位とは、極端だね。

 まあ「石の上にも3年」というとおり、勝負の世界、野球の世界には「3」という数字が付きまとう。3年続けて結果を出してこそ、一人前。そこで3年連続リーグ優勝を果たしたわけだから、広島の強さも勢いだけではないはずだ。

 ここで私の持論である「外野手出身の監督に名監督なし」を持ち出すと、また山本浩二(元広島=外野手)に怒られそうなので、ひとまずそれは置いておこう。

 優勝の翌年は、戦い方が難しい。というより、戦う姿勢を整えるのが難しい。優勝してホッとすると、どうしても気持ちが緩んでしまうのだ。私など、その典型だと思う。だから1993年からヤクルトは優勝、4位、優勝、4位……。まるで判で押したように、同じ流れを繰り返した。

 優勝して「やれやれ」と思い、肩の力が抜けていく。監督の心の中は、不思議なことにそのまま選手へ伝わってしまう。選手の前では変わらぬ姿勢を貫こうとしても、やはり態度や言葉の端々、どこかで出てしまうのだ。私はまさにヘボ監督だった。

 リーダーが代われば、チームは変わる。それで監督のクビを挿(す)げ替えることになるわけだ。

 自軍の問題だけではない。相手チームだって、いつまでもやられっぱなしではいられない。なぜ負けたか、十二分に研究し、翌シーズンは臨んでくる。やられた側は覚えていても、勝った側は往々にして、それに気付かないものである。

 人間、失敗から学ぶことのほうが多い。やはり悔しさがバネになり、新しい発見や成長を生むのだろう。ヤクルト監督時代、1992年、93年と連覇できたのは・・・

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勝負と人間洞察に長けた名将・野村克也の連載コラム。独自の視点から球界への提言を語る。

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