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野村克也の本格野球論

野村克也が語る「遊撃手と宮本慎也」

 

阪急黄金時代を支えた名遊撃手・大橋穣/写真=BBM


宮本は守備の名手かつ「一流のワキ役」だった


 野球は点取りゲームであると同時に、失点しなければ負けないスポーツだ。守りで0点に抑えれば、絶対負けることがない。

 そこで最も重視されるポジションは、センターライン。キャッチャー、ピッチャー、セカンド、ショート、センターである。勝敗のカギは7割方、バッテリーが握っているとはいえ、やはり二遊間の固定は、チーム作りの根幹だ。

 特にこの2つのポジションには、守備のうまさのみならず人間性も求められる。チームプレーを優先し、ピッチャーに対しても気配り、目配りを欠かさず、試合中もタイミングを見計らってマウンドに駆け付ける。バッテリーのサインから目を離さず、常に先を読んで備える。いわば、内野のリーダーだ。だからプロ野球の名監督には、セカンド、ショート出身が多いのだろう。

 ヤクルト監督時代の1994年、私は守備のうまいショートを探していた。ショートの池山隆寛が当時アキレス腱を痛めており、彼をサードにコンバートするつもりだった。「即戦力のショートを獲ってほしい」と編成部に掛け合うと、「バッティングに目をつぶってくれるなら、いい選手がいる」と言う。それが、現ヘッドコーチの宮本慎也だった。

 確かに、いい選手だった。守備はうまい。だが、同志社大時代に首位打者を獲ったというバッティングは、非力そのものだ。私は宮本にこう言った。

「お前に『八番・ショート』をやる。打率は2割5分でいいから・・・

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勝負と人間洞察に長けた名将・野村克也の連載コラム。独自の視点から球界への提言を語る。

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