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野村克也の本格野球論

野村克也が語る「オールスター」

 

1970年、球宴第2戦での太田幸司[左]と筆者/写真=BBM


他捕手のリードを見て「自分なら……」と考えた


 今年のオールスターゲームのファン投票、選手間投票に続き、監督選抜選手が発表された。残るプラスワン投票の結果発表は7月9日だから、この号の発売日前日にはすべての出場選手が決まっているはずだ。

 私の現役時代は今と違って交流戦もなく、セ・パのチームが対戦する機会と言えば、ほんの数試合のオープン戦とオールスター、日本シリーズぐらいしかなかった。だからオールスターの晴れ舞台で『人気のセ、実力のパ』を証明してやろうと、全パの選手たちは大いに張り切ったものだ。

 私は21回、オールスターに出場した。編集者に「初めて出場したときは緊張しましたか?」と聞かれたが、なにぶん60年以上前の話(1957年)なので、どうだったかな(笑)。

 それで思い出したのが、1970年のオールスターだ。前年、三沢高のエースとして甲子園を沸かせた太田幸司が、近鉄バファローズに入団。プロでも“コーちゃんフィーバー”は続き、ファン投票1位でオールスターに選ばれた。太田は一軍にはいたものの前半戦、中継ぎ登板による1勝のみ。まだ実績もない中で担ぎ出された舞台に、緊張したのだろう。第1戦(神宮)の6回裏、大歓声のなか登場した太田はストレートが上ずり、なかなかストライクが入らなかった。結局打者5人に対し被安打2、与四球2で失点2。一死しか取れずにマウンドを降りた。

 私は6回表の攻撃で、すでにお役御免となり、ベンチでその様子を見ながら・・・

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勝負と人間洞察に長けた名将・野村克也の連載コラム。独自の視点から球界への提言を語る。

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