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野村克也の本格野球論

野村克也が語る「二番打者」

 

阪急で一番・福本とコンビを組んでいた大熊は理想的な二番だ/写真=BBM


“瞬間湯沸かし器”は性格だから仕方ない


 ちょうど前号の原稿を考えていたとき、DeNAパットンの処分を発表した。だが誌面の関係で、書きそびれてしまった。

 パットンは8月3日の巨人戦(横浜)、2点リードの8回に登板しながら3連打を浴び、たちまち同点にされた。一死も取れずに降板後、ベンチ内の冷蔵庫を殴打し、利き手小指を骨折。アメリカに帰国して整復手術を受け、再来日した。そのパットンに対し、横浜は罰金500万円と、リハビリ期間中、球団が主催する子ども向けの野球振興活動に参加することを課した。

 今季の復帰は絶望的。本人は「CSまでに間に合わせたい」と言っているそうだが、21年ぶりのリーグ優勝を目指すチームに、水を差してしまったのは間違いない。

 こういう“瞬間湯沸かし器”みたいな選手は、いつの時代にもいるものだ。私の現役時代で言えば、スタンカ(元南海ほか)がそうだった。ふだんは物静かな、ジェントルマン。だがマウンドに上がると、とたんに人が変わってしまう。このページでも以前書いた、1961年の巨人との日本シリーズ第4戦(後楽園)。自信を持って投げ込んだ渾身のシンカーが「ボール」と判定され、スタンカは激怒した。次のプレーで外野からの返球を待つ私(捕手)のバックアップに来る途中、どさくさに紛れて円城寺満球審を跳ね飛ばしてしまったのだ。「円城寺 あれがボールか 秋の空」の句で有名な、あのシーンである。

 南海で60年代、控え捕手だった渡会純男も、相当な瞬間湯沸かし器。ある日、右手に包帯を巻いているので「どうしたんだ?」と聞くと・・・

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勝負と人間洞察に長けた名将・野村克也の連載コラム。独自の視点から球界への提言を語る。

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