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野村克也の本格野球論

野村克也が語る「ホークスと巨人の日本シリーズ」

 

日本一に輝いたソフトバンク・工藤監督/写真=内田孝治


“なんかい”戦っても巨人に勝てず……


 この原稿の締め切り時、日本シリーズの状況がどうなっているか。それがとても気掛かりだった。第3戦が終わり、ソフトバンクが3勝0敗と日本一に王手をかけたところで、締め切りをギリギリまで延ばしてもらうことにした。

 案の定、といったら結果論になってしまうだろうか。ソフトバンクが第4戦を1点差で逃げ切り、4連勝で3年連続の日本一を勝ち取った。短期決戦は、やはり野球の本質に立ち返ったチームが強い。勝敗の7、8割は投手陣がカギを握っている。投手を含めた守備力で「1点」を守り切ったチームは、勝利の確率が高くなる。

 それにしても、時代は変わったなあとしみじみ思う。私が南海「ホークス」で現役、兼任監督として過ごした時代は、ちょうど巨人V9の時期と重なっていた。あのころの巨人は、まったく手が付けられなかった。だから、「4勝」をするのは必ず巨人。「ホークス」が巨人に対して「4勝」するなど、夢物語のようだった。

 何せV9が始まる前、南海が4連勝で日本一になった1959年が、巨人に勝った最後のシリーズ。以降、今季に至るまで、「ホークス」は一度も日本シリーズで巨人に勝っていない。

 それどころか59年以前も、南海は巨人に4度、日本シリーズで敗れている。『打倒巨人』は60年以上も前から、「ホークス」の悲願だったのである。

 さて・・・

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勝負と人間洞察に長けた名将・野村克也の連載コラム。独自の視点から球界への提言を語る。

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