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野村克也の本格野球論

野村克也が語る「投手の交代機」

 

日本シリーズ第2戦、巨人先発のメルセデスは好投していたが……/写真=小山真司


最近はなぜ安易に投手を代えるのか


 先だって読者から、こんな質問をいただいた。

「最近の野球の傾向として、先発投手が好投しているにもかかわらず、中継ぎ、抑えと特に明確な理由もなく交代させるケースが散見されます。結果として後続の投手が打たれ得点されるものの、再度味方が逆転するなど、一見スリルに富んだ試合に見えますが、なんとなく大雑把で粗い試合になり、野球の本当の醍醐味が薄れてしまうように感じます。投手の交代は、監督にとって最も大事な采配の一つであると思いますが、最近はなぜ安易に投手を代えるのか、不思議に感じています。ぜひノムさんのご意見をお聞かせください」(タカさん・70歳)

 まさにおっしゃるとおり。先発投手の球数が、交代の判断材料の一つであるのは当然だ。しかし現在は『100球』という球数で一様に、先発投手の代え時を決めている。そもそも『100球』という数字に、どこまで科学的根拠があるのかも、定かではないと聞く。アメリカから来たのだろうが、いったいどれだけの指導者が『100球』のゆえんを知っているのか。

 その球数制限に基づいてシステム化を行い、先発-中継ぎ-抑えという投手リレーのもと、理由もなく投手を次々マウンドから下ろしてしまう。おまけにそのシステムに対し、『勝利の方程式』などという大層な名前まで付けてしまった。野球に『勝利の方程式』など、あるはずがないのだ。野球は、『状況判断のスポーツ』である。状況判断が第一条件なのに、そこに決まり切った『方程式』を当てはめたところで、必ずしも機能するとは限らない。

 監督業で最も難しいのは・・・

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勝負と人間洞察に長けた名将・野村克也の連載コラム。独自の視点から球界への提言を語る。

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