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野村克也の本格野球論

野村克也が語る「“野村チルドレン”の新監督」

 

二軍監督から楽天の指揮官となった三木肇監督/写真=幡原裕治


野球の戦術は出尽くしたか


 2019年のシーズン終了後、3球団で新監督が誕生した。そのうちヤクルト高津臣吾、楽天・三木肇の2人は奇遇にも、私がヤクルト監督時代の選手だった。

 就任時、高津は私に「野球の難しさ、奥深さを学んだ」と言い、三木は「野球は間(ま)が多く、考える時間のある『頭のスポーツ』であることなど、野球人として、いろいろ学ばせてもらった。それが自分の土台になった」と言ってくれたようだ。

 とりわけ三木は、「バッテリーを中心とした守りの野球」「1点を守り、1点でも多く取る」とチームづくりのビジョンを示した。それを聞いたマスコミは「“ノムラの考え”で優勝を目指す」と書いたが、私のコピーになる必要はないと思う。野村流がベースになるにしろ、そこにどんどん三木流を加えていけばいい。基本的なこと──時代を経ても、どんなチームでも変わらない野球の本質は追求し、チームカラーやその年年のチームが持つ特長によって、変えるべきものは変えていく。

 ただ、昨今私もふと、思うことがある。「相手を0点に抑えれば負けない」という野球の本質は変わらなくとも、野球の戦術そのものは、もはや出尽くしてしまったのではないか。「野球は意外性のスポーツ」と言い、奇策をひねり出したのも、昔の話。今やそれも通用しなくなり、監督にとっても、社長やオーナーにとっても難しい時代になってきたように感じる。

 もし本当にそうなってきたとすれば、語弊はあるが、監督なんて誰がやっても・・・

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勝負と人間洞察に長けた名将・野村克也の連載コラム。独自の視点から球界への提言を語る。

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