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野村克也の本格野球論

野村克也が語る“新庄剛志”「新庄よ、『時代と年齢には勝てない』は“弱気な発言”でなく“常識”だ」

 

阪神時代の新庄[左]と筆者/写真=BBM


13年のブランクを経て新庄が現役復帰宣言


 新庄剛志が、現役復帰宣言をしたそうだ。

 マスコミは真っ先に私のコメントを聞きに来た。正直、まず口をついて出たのは「代表的なアホやな」だった。2006年に現役引退してから、13年。今年47歳を迎えた。確かに現役時代、彼の身体能力は群を抜いていた。しかし13年もの間、野球から離れているのだ。いくら1年間トレーニングを積むと言っても、現実的には無理だろう。

 私は45歳まで現役生活を続けたが、年齢を重ねるにつれ、体力が衰え、体のキレが悪くなった。そのため、内角の速球がうまくさばけなくなってきた。なんとか内角を打とうとすると、今度は体が早く開いてしまう。次第にタイミングが狂い、バットが振り遅れるようになった。

 ずっと打席に立っていてさえ、そうなのだ。13年間ものブランクと、47歳という年齢では、新庄がいかに超人的な運動能力を持っていたとしても、プロ野球界で再びプレーすることは難しい。

 もちろん球界に引退──復帰の前例がないわけではない。フォークボールの元祖・杉下茂さんは1958年に事実上引退して中日の兼任監督に就いたあと、61年、大毎で現役復帰した。巨人の「エースのジョー」こと城之内邦雄は71年に引退後、一度は解説者になったが、ロッテ金田正一監督に乞われて74年、復帰した。ヤクルト有沢賢持のように、打撃投手から33歳の年に現役復帰した例もある。

 私は常日ごろ、「人間は可能性の動物」であり、「自己限定人間は生き残れない」と説いている。しかし、人間には決して勝てないものが2つある。時代と年齢。こればかりは不変の真理なのだ。もはや、新庄の時代ではない。

 と、そんなことをマスコミに話したら、その記事を見た新庄が・・・

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勝負と人間洞察に長けた名将・野村克也の連載コラム。独自の視点から球界への提言を語る。

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