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今週のテーマ
2020年東京オリンピック

 

 2020年のオリンピックの開催地が東京に決定しましたね。僕が生まれてから、日本で夏季オリンピックが開催されるのは初めてなのですごく楽しみです。大会の時期は僕も結構よく見ています。やはり水泳や柔道など、メダルを獲れる競技はつい期待して見てしまいますね。

 以前も書きましたが、僕が大学進学を決めた理由の一つにオリンピックがあります。正式競技になったのは92年のバルセロナからですが、公開競技だった84年(ロサンゼルス)、88年(ソウル)で金、銀のメダルを獲って、日本のレベルを証明しました。そのときはオリンピック日本代表がアマチュアの頂点でしたからね。僕ら大学生もそうだし、社会人にとっても最大の目標でした。

 僕が出場した96年のアトランタ大会で一番の思い出は、やっぱり銀メダルを獲ったことですね。決勝トーナメントでアメリカに11対2で勝ち、決勝ではキューバに9対13と惜しいところで敗れました。

▲銀メダルを獲った後の青学大時代の写真です。実は、当時のアメリカ代表に、今はチームメートのグライシンガーもいたんですよ(写真=BBM



 当時のアメリカは、アマチュア一の投手だったクリス・ベンソンや去年、サイ・ヤング賞投手になったR・A・ディッキー。三塁には後にメジャーで本塁打王になるトロイ・グロースなどがいて、本当に強かった。思い出に残る1勝でしたね。いろんな選手と会って、世界のレベルの高さも分かり、メジャーに行きたいという思いにもつながった。いろいろな面でステップアップできた場でした。

 あくまでも僕個人の意見ですが、オリンピックにプロが参加するのはあまり賛成ではありません。自分がそれで出られなかったら悲しかったでしょうから。今はWBCもあるし、色分けした方が良いかなと思います。当然、魅力はありますが、自分がアマチュアで出ただけに、アマチュア選手の場所を与えてほしいですね。



 野球・ソフトボールは正式種目に入ってほしかった。でも、まだまだ世界ではやれる国が少ないわけだから、もっと普及させていかないといけない。理想としては今の形で正式種目に戻ってくれるといい。あまりルールは変えてほしくないですが、7回制の野球もどういう展開になるか見てみたいですね。違った戦略なども生まれてくるでしょうから。

 東京オリンピックまであと7年。僕はたぶん、そのころには現役ではないでしょうから、地元開催を見に行けたらいいですね。僕たちが出場したときには近くの水泳会場は見に行けましたが、それ以外は機会がなかった。今度はテレビではなく、ライブでいろんな競技を見に行きたい。それが今から楽しみですね。

PROFILE
いぐち・ただひと●1974年12月4日生まれ。東京都出身。178cm91kg。右投右打。国学院久我山高から青学大を経て97年ドラフト1位でダイエーに入団。3拍子そろった内野手として3度のリーグ優勝に貢献。05年からホワイトソックスに入団。同年世界一に輝く。09年からはロッテに在籍し、10年の日本一に貢献。主なタイトルは盗塁王(01、03年)、ベストナイン(01、03、04年)、ゴールデングラブ賞(01、03、04年)。今季の成績は121試合、打率.292、22本塁打、81打点(9月16日現在)。
井口資仁 “Road from 2000”

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2013年、2000本安打達成を控えた井口資仁が心境を語る不定期連載コラム。

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