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今週のテーマ
引退

 

 9月20日に晋吾(小野)が引退を表明しました。僕はどちらかというと、ダイエー時代に対戦したときのイメージが強いですね。シュートでぐいぐい攻めてくるタイプで、だいぶ(デッドボールを)当てられましたからね(笑)。

 チームメートになってみると、投球のテンポが良くてフィールディングもうまいし、守りやすい投手でした。自分のリズムでどんどん投げるタイプで安定感もあって、攻撃に移りやすかったですね。投手では薮田さん(安彦)に続く年長でしたが、2人ともよく練習するし、若い投手の良い見本となっていたと思います。

 昨年の後半は良い投球を続けていて、もっとできる力はあるはずです。今、投手陣は苦しい状況だから、何とか最後の最後まで戦力になってほしい思いが強いですね。僕たち野手陣も、彼を一軍で投げさせるような状態を作らないといけません。

▲2010年4月11日の西武戦(千葉マリン)では、晋吾が7回無失点で勝利投手。僕は3安打2打点でともにお立ち台に。また再現したいですね(写真=川口洋邦)



 僕は今のところ、具体的に引退をイメージしたことはありません。昨年、今岡(誠)や(松井)秀喜などの同級生が引退しましたが、年を取ればそれだけ近づいてくるのは確かですね。そのタイミングは自分が決めることでもあり、周りが後押しする部分もあるのだと思います。

 以前のインタビュー(8月5日号)では、引退後の一つの選択肢にGMを挙げました。日本の野球を見ていてもったいないなと思うことが多くあって、どの球団も二軍に埋もれている選手はいるけど、トレードが少ない。そういう部分をうまくマネジメントしてみたいですね。

 ビジネスとしてきっちり野球をやれるかどうか。日本だと『入団した球団に最後まで尽くす』という風習があります。それはとてもいいことですが、違う球団でプレーすることも、自分自身の大きな勉強になるんじゃないかな。出場機会に恵まれない選手が、1つの球団にこだわり出場機会を失うのは本末転倒ですから。

 とはいえ、やっぱりまだまだ先の話ですね。僕が入団したころのプロ野球は、30歳前半くらいでみんなおじさんという感じ。今は時代が変わってきていて、ここ数年で選手寿命はぐっと延びました。最も大きいものはトレーニングの充実だと思いますね。アフターケアも含めて、身体的には以前よりも充実しています。

 後はドーム球場が増えたこともありますね。やはり屋外球場と比べると、ずっと楽になりますから。その点ではマリンはちょっと厳しいかもしれませんが、それを言い訳にせずに成績を残せるように頑張ります!

PROFILE
いぐち・ただひと●1974年12月4日生まれ。東京都出身。178cm91kg。右投右打。国学院久我山高から青学大を経て97年ドラフト1位でダイエーに入団。3拍子そろった内野手として3度のリーグ優勝に貢献。05年からホワイトソックスに入団。同年世界一に輝く。09年からはロッテに在籍し、10年の日本一に貢献。主なタイトルは盗塁王(01、03年)、ベストナイン(01、03、04年)、ゴールデングラブ賞(01、03、04年)。今季の成績は130試合、打率.293、23本塁打、82打点(9月30日現在)。
井口資仁 “Road from 2000”

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2013年、2000本安打達成を控えた井口資仁が心境を語る不定期連載コラム。

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