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2022タイトルホルダーインタビュー

日本ハム・松本剛インタビュー 1本でも多くヒットを「思い切りを捨てず、『割り切り』を実行することも含めて、自分らしさをつくり出そうと思っていた」

 

白熱のペナンレースが幕を閉じ、2022年のタイトルホルダーたちが出そろった。今回から不定期で、彼らの声をお届けしていこう。まずはケガに屈せず初のタイトルに輝いたパ・リーグ首位打者の登場だ。
取材・構成=杉浦多夢 写真=高原由佳、BBM


指揮官の言葉


 プロ入りして10年間で規定打席に到達したのはわずかに1度。開幕前にこの男の首位打者を予想できた者は多くなかったはずだ。だが、フォームの見直しを含めた昨季からの取り組みが実を結び、BIGBOSS(新庄剛志監督)の言葉をブーストにして、開幕からヒットを打ちまくりバットマンレースをけん引した。

――あらためて今季の成績をどう振り返りますか。

松本剛 数字だけで考えたら、本当に自分でもびっくりしているような数字が残った、というのが本音ですね(笑)。

――昨年から構えやフォームを見直してきた結果でもあります。

松本剛 どうやったらヒットを多く打てるか、ということに特化したというか。僕みたいなタイプは打率を残さないと生きていくことができません。そこを求めるために、という気持ちでした。

――バットも昨年からグリップを太くしました。

松本剛 もともとグリップはすごく細かったんですけど、バットに関しては何年も変えていなくて、「何かを変えてみよう」というところでの変化でした。グリップを太くしたことによって握ったときの安心感が増したかな、とは思いますけど、正直、バットをいじったから良くなったのかといったら、何とも言えないところですね。ただ、フォームを見直したことも含めて、いろいろなことがうまくマッチしてくれたのかなと思います。

――具体的にフォームをどう見直したのでしょうか。

松本剛 具体的に言うのは難しいのですが、「力感をなくす」ということです。特に上半身。極端に言えばバットを持っていない、握っていないくらいのイメージですね。ギリギリまでリラックスした状態で、スイングを始動しても一気に力を入れない。振り出しからいきなりマックスで力を入れるのではなく、徐々に上げていき、インパクトの瞬間に100%に持っていくイメージです。

――構えのときにリズムを取りながら右手を離す仕草をしています。

松本剛 そこはリンクしていると思います。やはり右手のほうが力は強いので、そこを抜く、という意識を持っていたら、自然とああいう感じになりました。

――あの仕草はいつから。

松本剛 いつごろなんですかね。そこは意識していなかったので、自分でも映像を見返さないと分かりません。ただ、リラックスする、右手の力を抜くという意識を持ってからだと思うので、早くても昨年からだと思います。

――フォーム以外で、打席の中での意識の変化はありましたか。

松本剛 僕は「割り切り」という言葉をよく使うのですが、10打席やって、本当は10打席とも打ちたいですけど、そこを求め過ぎると難しくなってしまう。試合の中での「プラン」じゃないですけど、先発ピッチャーに対して3打席あるという気持ちを持ちながら、3打席でどう攻略していこうという気持ちの変化はありました。割り切る打席も必要ですし、その打席があとに生きてくることもある。そういったことが・・・

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