3年ぶりのタイトルを手にしたが自らの数字にも、チーム成績にも納得していない。節目の記録までも、あと一歩のところまで来た。来季こそは念願の頂点に立つために、9回のマウンドに立ち続ける。 取材・構成=阿部ちはる 写真=桜井ひとし、井沢雄一郎、BBM 悔しい2度の失敗
楽天不動のクローザーは今季もどっしりとその場所を守り続けていた。悔しいセーブ失敗やサヨナラ負けをしても次の日には笑顔で球場に来る。しびれる場面で最高の一球を投じ勝利した次の日でも、いつもと変わらずに黙々とメニューをこなす。自他ともに認めるその切り替えの早さは抑えというポジションに向いているのだろう。だが一方で、喜びも悔しさも頭には残り続けている。特に打たれた場面は鮮明に、その状況を覚えているのだ。だからこそ、その悔しさを努力に変換し、同じ轍(てつ)を踏まぬよう改善することができる。それこそが信頼され、一番重要な局面を任されている要因だろう。 2度目のセーブ王は悔しさの残るシーズンでの獲得となった。持ち前の明るさの中に悔しさをにじませて、インタビューに答えてくれた。 ――2019年以来となる2度目のセーブ王獲得となりました。
松井裕 1年間を終え、一番上に名前を残せたというところはよかったなと思いますし、僕以上に、支えてくださる周りの方々が喜んでくれたので、それが僕は一番うれしいです。
――今シーズンを振り返って、良かった点と反省点を聞かせてください。
松井裕 良かったところは……あんまりないかな。フォークボールがしっかり機能して三振も多く取れたことくらいですかね。反省点に関してはホームランが多かったところ。あとは大事なところでセーブ失敗があって、それが(チーム)4位という結果につながってしまったのかなと思っています。
――シーズン終了後には「CS、日本シリーズに向けてセーブ失敗があった。自分に責任がある」と。8月30日の
オリックス戦(楽天生命パーク)での逆転負けでオリックスに勢いがついてしまったと話していましたが、試合の勝ち負けに関わる場面で投げるプレッシャーや責任をあらためて痛感したシーズンになった。
松井裕 そういう場面で投げているのは分かっているので、常々重みだったりというのはしっかり感じて投げているつもりです。ただ、終盤になればなるほど、僕の失敗が順位争いにも大きく影響してしまったので、やはり失敗はゼロでいきたいなと思いましたね。同点から負けるのとは訳が違うので。
――そういった悔しい敗戦があっても、気持ちの切り替えはいつもどおりにできていたのでしょうか。
松井裕 そうですね。そこに関しては全然問題なくやっています。
――被本塁打は4本でした。印象的なところで言えば、6月18日の
ソフトバンク戦(PayPayドーム)での
周東佑京選手のサヨナラホームランがあります。サヨナラ本塁打を被弾したのは19年の
メヒア選手(
西武)以来でした。
松井裕 今年に関してはもう1本、同じような球を
中村晃さんに打たれているんです(9月7日のソフトバンク戦=PayPayドーム)。クイックになったときの左バッターへの外の真っすぐが内側に抜け・・・
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