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2022タイトルホルダーインタビュー

西武・水上由伸 潔いほどの自信「新人王は『絶対に獲る』と思っていました」

 

ピンチでもまったく動じない。おそるべきメンタルを持つ男は育成入団から駆け上がり、2年目の2022年に新人王、最優秀中継ぎをダブル受賞。言葉にも強さを持つ右腕が、心の内を赤裸々に語った。
取材=上岡真里江、写真=榎本郁也

2022年11月25日に行われたNPB AWARDSで新人王の表彰を受け、笑顔を浮かべた


挑戦しないほうが嫌


 2021年、同期入団選手の中では最終指名の育成ドラフト5位で入団したにもかかわらず、開幕から2カ月も経たない5月13日に支配下に登録され、6月11日に一軍初マウンドに立った。スピード出世に加え、初登板後の活躍も衝撃的で、デビューから17試合連続無失点のパ・リーグ新記録を樹立(当時)。その投げっぷりの良さで一躍、存在感を高めたルーキーイヤーだった。投球イニングが27回だったため新人王の権利を有したまま22年を迎えると、開幕からシーズン通して要所を任され60試合登板で4勝4敗31ホールド1セーブ、防御率1.77の成績を残し、最優秀中継ぎのタイトルを獲得。さらに堂々の新人王受賞となった。

――最優秀中継ぎと新人王、ダブル受賞となりました。それぞれの賞への思いを聞かせてください。

水上 どちらもうれしいですが、特に最優秀中継ぎを獲れたことがうれしかったですね。というのは、ホールドポイントという明確な基準があって、その数字がパ・リーグでトップだったということなので。中継ぎとして、一度は獲りたいと思っていたタイトルだったので良かったです。新人王は周りには言わなかったですが、自分の中では22年「絶対に獲る」と思っていたので、ほかにもいろいろ注目されている選手はいましたが、「まあ、見ておけよ」とは思っていました。

――強気がウリの水上投手らしいですね。

水上 こういう性格なのでね(笑)。

――パでは育成選手からの新人王受賞は史上初となりました。

水上 らしいですね。NPB AWARDSのときに聞いて初めて知りました。初が僕でいいんですかね? という感じです。

――22年シーズンは勝ちパターンの一角を担い、リーグ3位の60試合に登板、防御率1.77と充実のシーズンだったと思います。タイトル受賞と併せ、これほどの活躍ができた要因はどこにあると考えますか。

水上「強い気持ち」です。僕には160キロを超えるような速い球もないですし。特別すごい変化球があるわけではないので、本当に気持ちがすべてだと思います。22年はキャンプのときから「勝ちパターンで投げる」と言っていましたし、投げるときは常に「打てるもんなら打ってみろ!」と思って投げていたので、それが結果につながったのかなと思います。

――そのとおり、22年はキャンプ前から「勝ちパターンで投げて、50試合以上投げる」と宣言し、それを大きく上回る成績を挙げました。21年は「入ってすぐに支配下になって、一軍で活躍する」を目標に掲げ、有言実行。そうした自己実現力の高さにも脱帽ですが、何か秘訣はあるのですか。

水上 僕は結構強気に「これします!」「ああいうふうになります!」と言うタイプなので。そういうふうに言ったほうが周りも注目してくれると思いますし、それに対して期待する人もいれば、批判する人もいればという感じ。そういう環境のほうが僕は好きなんです。

――「豪語したのに達成できなかったら嫌」という考えはない、と。

水上 達成できなかったら嫌というよりも、どちらかというと僕はチャレンジしないほうが嫌なので。だから練習でもなんでも、「あ、これしてみよう」って急に思うタイプ。で、思い立ったら即、行動に移します。例えば・・・

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