2023年のタイトルホルダー・インタビュー第4回は、自身初の全143試合に四番で先発し、打線の核となった強打の二塁手だ。主軸としての覚悟を持ち、開幕前から“100打点”という目標を設定。宣言どおりの結果を残してタイトルを獲得し、次代の侍ジャパンの中心選手としても期待を受ける中、こだわりを持った称号は今後も譲るつもりはない。
取材・構成=武石来人　写真=BBM

成否を握る「四番」

「自覚と責任」をにじませる言葉、すべてに全力を注ぐプレースタイルに加え、DeNAの四番としての信頼感、立ち居振る舞いは若手であることを忘れさせてしまう。ただ、まだ入団3年目。昨年は四番の重要性を痛感し、苦しんだこともあった。それでも折れずに鍛錬を重ねた主砲は、先輩、後輩分け隔てなく頼り、頼られる存在になっている。WBC、レギュラーシーズン、CS、アジアプロ野球チャンピオンシップと走り続けた成長の2023年を経て、さらにスケール感は増していく。

――3月の第5回WBCからシーズン全試合出場とタフな日々を送ってきました。全体を振り返るとどんな1年でしたか。

牧　正直、今年始動した段階ではあまり良い状態ではなかったんです。「ちょっと今年はまずいかもしれないぞ」という感覚もありました。ただ、そんな中でも1年を通して、しっかりプレーできたことはシンプルに良かったなと思います。最多安打、打点のタイトルを獲得できたことも、とても大きな経験です。

――打点王獲得は特に喜びが大きかったと思います。

牧　開幕前から個人として最大の目標にしていましたし、いつも言葉にしていたので、本当にうれしいですね……。本当にうれしいです！

――終盤戦では2位以下を突き放しましたね。

牧　シーズン中盤以降、岡本和真さん(巨人)と抜いたり、抜かれたりが続いていたので気は抜けなかったですし、最後の最後まで出し切ろうとした結果だと思います。

――打点が大きく伸びた要因はどこにあるのでしょうか。

牧　頼れる方が周りの打順を打っていてくれたおかげだと思います。特に宮崎(宮崎敏郎)さんは今季、首位打者も獲得されましたし、シーズンの最初から最後まで安定した打撃でチームを支えてくれていました。個人としても心の寄りどころにさせてもらっていました。自分がもしダメでも打ってくれると思っていたから思い切って打ちに行けた部分はとても大きかったですね。

――以前、キャプテンの佐野恵太選手と宮崎選手にそれぞれインタビューした際、口をそろえて「牧がいるから思い切って行ける」と話してくれていました。今の言葉を聞くと、その信頼関係の深さを感じます。

牧　昨年から、宮崎さんと佐野さんが前後を打つことが増えました。長い期間を過ごすうちに自分も負けないように頑張らなければと思いつつ、先輩方に頼りたい部分もありました。支え合おうとする気持ちがあったから生まれてきたものだと思います。

――目標に掲げていた100打点の達成についてはどう感じていますか。

牧　ずっと目指してきた数字なので、まずは個人としても良かったです。同時にシーズンを振り返ってみると・・・