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惜別球人2013

インタビュー・小野晋吾 悔いを残さないようにと切り替えて結果が出た

 



「プロでやっていく自信がない」と、一度はロッテの6位指名を拒否。入団5年目の98年にはとある出来事でクビを覚悟した。だが、00年に日曜日ごとの登板で白星を挙げて一躍ブレークすると、欠かせない存在として堂々と20年間の現役人生をまっとうした。スカウトとして第二の人生を歩み始める小野晋吾に、ユニフォームを脱いだ現在の心境を聞いた。

取材・構成=吉見淳司 写真=BBM

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鮮烈シュートで終幕

――10月6日の本拠地最終戦の試合後に引退セレモニーを行い、今季初めてQVCマリンのマウンドに立ちました。その際の投球を見ると、まだまだできるようにも見えましたが。

小野 そう言ってもらえるとうれしいですね。最後の1カ月の状態だったら上でやれる、とは自分の中で思っていたので。クライマックスシリーズに向けてアピールしたいというのもあって(笑)。

――俺はまだまだ投げられるぞ、と。

小野 そうですね。とにかく、チームの戦力になりたいという気持ちで最後まで練習していました。辞めるという気持ちはありましたけれど、最後までやり切りたいと思っていましたから。

▲引退セレモニーの自身の投球を見て、「いいフォームですね」と自画自賛。それほどまでに状態は良かった



――その気迫が最後の1球となった141キロのシュートに表れました。

小野 もっと出るはずだったんですけれどね(笑)。その前にファームで投げているときも、状態はすごく上がっているのが自分で分かっていましたから。

――しかし、右肩は日常生活にも支障が出るほどの状態でした。

小野 肩はプロに入る前から、20年以上この状態で、ちょっと上げるのにも引っかかりや痛みがありました。ただ、僕の場合は運よく投げられていた。その状態で20年以上やって来たという感じですね。

――それが今年は特に悪かった。

小野 特に投げ始めですね。キャンプでの肩づくりで、人よりも遅いのは毎年のことなんですけれども、練習を始めてから1カ月半くらいしないとできてこない。山があるんですけど、一度その山を乗り越えないと肩ができない状態がずっとだったので。それをまた来年やらなきゃいけないのかとなると、今の状態だとしんどいというのはありましたね。

――引退を考え始めたきっかけは。

小野 7月15日にファームで、1回に9連打された試合(対DeNA、ロッテ浦和、2回9失点で敗戦投手に)は、自分の中で「そういうことなのかな」と思ったきっかけではありましたね。そこの試合を頑張れば一軍で投げられるチャンスはあると思っていました。今までもそういう場面ってすごくたくさんあったんですけど、そういう所で結果を残してやってきた。けれど、その試合に限ってはそういう結果だったので……。ただ、そこからまた気持ちを切り替えて、引退は決めたけれども最後までチームの戦力としてやり切りたいという気持ちでやっていました。

――気持ちは常に張りつめていた。

小野 そうですね。まあ、今年が始まる前から引退というものはちょっと意識していました。プロ20年という節目の年でしたし、3年契約で今年が最後ということもあって。ただ、去年はすごく手応えを感じたシーズンで、去年のような投球が今年もできていれば、まだまだ十分やれるという思いもあって強い気持ちを持って臨んだんですけれどもね。

――その気持ちを持ちながらも試合で結果を出せなかったことが……。

小野 やっぱり一つのターニングポイントだったのかなと思いますね。



BE CONFIDENT

──ロッテに指名された直後には「プロでやる自信がない」という発言もありました。

小野 一度は入団を拒否しましたからね。12球団で1人だけだったので、新聞には「拒否男」と書かれてしまって「うわーっ、そんなつもりじゃないのに」って(笑)。とにかくプロでやれる自信がなかったし、社会人野球が決まっていたので、そちらで結果を残してから入れれば良いという考えでした。

▲御殿場西高での活躍を見込まれ6位で指名されるも、「自信がない」と一度は入団を拒否した



──しかし水谷則博スカウト(故人)の説得もあり、翻意します。

小野 れもありましたし、一番は親孝行ができるのも今かなと思ったことが理由ですね。プロで通用する自信は本当になかったです。

──実際にプロ入りしてからは。

小野 れもありましたし、一番は親孝行ができるのも今かなと思ったことが理由ですね。プロで通用する自信は本当になかったです。最後まで自信は持てなかったですね。ただ・・・

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惜しまれながらユニフォームを脱いだ選手へのインタビュー。入団から引退までの軌跡をたどる。

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