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惜別球人2016

星孝典 引退惜別インタビュー 「あきらめず」に「根拠」を持って

 

12年間のプロ野球人生で実働7年、試合出場は138。数字だけを見れば決して誇れるものではないかもしれないが、本人の中には「あきらめず」、「根拠」を持って最高峰の舞台を駆け抜けてきた自負がある。星孝典、34歳。数々の経験が糧となり、野球人としてさらに大きくなる。
取材・構成=小林光男、写真=内田孝治、BBM


自らの引退試合で後藤さんが……


「ゲームの世界だな」。ふと、我に返ると、えも言われぬ感情が湧き上がってきた。2005年10月4日の広島戦[東京ドーム]。同年、ドラフト6巡目で巨人に入団した星孝典はプロ初出場でスタメンマスクをかぶったこの試合で、あらためて伝統の球団の“重さ”に気が付いた。

2004年末の新人入団会見/左から東野峻木村正太三木均堀内恒夫監督、野間口貴彦亀井善行、星


──プロ初出場の試合で同期の野間口貴彦投手と組み、見事に勝利へと導きましたね。

星 1年目は教育リーグの初戦、クロスプレーで有鉤骨を折って、いきなり交代。打席にも立てませんでしたから。そんなスタートでシーズン最後から2試合目でやっと一軍初出場できました。このとき、純粋に「プロってすごい」と思ったのはマウンドに集まったとき。だって、一塁が阿部(阿部慎之助)さん、二塁が川中(川中基嗣)さん、三塁が小久保(小久保裕紀)さん、遊撃が二岡(二岡智宏)さんでしたから。もちろん先輩方とは初対面ではないんですけど、なんで自分がこのメンバーの中で野球をやっているの、と。テンションも上がりましたし、やっとプロらしい場所に立てたなとも思いました。

──そして、翌日の広島戦[東京ドーム]で左腕のベイルから初安打。

星 9回二死、カウント2-2からでした。ヒットを打つ前の球が絶対にストライクなのにボールになったんですよ。僕は「やっちゃった」と思ったくらい。判定を聞いて捕手の倉(倉義和)さんは・・・

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惜しまれながらユニフォームを脱いだ選手へのインタビュー。入団から引退までの軌跡をたどる。

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