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惜別球人2019

實松一成 引退惜別インタビュー ボロボロになるまで── 「チームのことを考えるようになって、野球が変わったように感じます」

 

松坂世代最強の捕手がユニフォームを脱いだ。佐賀学園高3年夏の第3回AAAアジア野球選手権では高校日本代表に選ばれ、松坂大輔(現西武)や、のちに巨人でチームメートになる杉内俊哉らのボールを受けた。プロ入り後は正捕手争いを繰り広げつつ、07年の巨人移籍後はチームを下支え。今後は21年の経験を後輩たちに余すことなく伝えていく。
※取材は春季キャンプ前 取材・構成=坂本匠、写真=大泉謙也、BBM

2019年9月26日、札幌ドームでの最終戦の試合後、ファンに別れのあいさつ


泣かないと思っていたら……


 キャンプイン直前のジャイアンツ球場で行われている育成合同練習に、二軍ブルペンコーチに就任した實松一成の姿があった。選手に歩み寄り、一言、二言と語り掛けては笑顔。新任指導者の新たな挑戦は始まったばかりだ。

──昨年9月の引退表明から約4カ月が経ち、指導者として新たな一歩を踏み出しています。間もなく春季キャンプも始まりますが、いま、どのような思いで毎日を過ごしていますか。

實松 巨人に呼んでもらい、二軍のバッテリーコーチという役職をいただきました。プレーヤーとはまた違った「やるぞ」という気持ちですね。ただ、引退した実感がないままここまで来てしまいました。これまでならばキャンプに向けて自主トレで体を動かしている時期ではあるので、それがないということが違いではあるんですけど……。

──日本ハムに復帰した2018年から昨年までの2年間、コーチ(二軍育成コーチ)も兼任でしたから、完全に新しい仕事というわけでもありません。

實松 首脳陣のミーティングなどにも参加させていただいていて、次のキャリアへの慣らしというか、いろいろなことを経験させてもらいました。そういった点では、戸惑いはなく、スムーズに。まだ若いコーチでプレーして見せることも必要になってきますから、それができる程度の体の準備もしています。もちろん、日々勉強で、いろいろな引き出しを持っていないといけないと思っています。選手一人ひとり、とらえ方も感じ方も違いますから。そのためにも、野球に限らずいろいろなものから吸収したいですね。

──昨年9月17日に正式に引退の発表がありました。決断に至った経緯を教えてください。

實松 今までも大した成績を挙げてきたわけではなかったですが、自分の中ではボロボロになるまで、体が動かなくなるまでやろうと決めていました。その中で、去年、スローイング1つとっても痛くて投げられないということが続いたので、これはもう「ボロボロなのかな?」と。いろいろ治療とかもやってみましたけど、なかなか思うようには回復しない。20年のことを考えると、「果たしてプレーできるだろうか?」と。自分がプレーしている姿をイメージすることができなくなってしまったので、引退を決めました。決断したのは発表させてもらった日の直前。やるつもりで、できる限りの準備をしようと思っていましたから、家族にも伝えていませんでした。

──引退をすると決めたとき、どんなことが頭に浮かびましたか。

實松 引退した後に何をするかも決まっていなかったのですが、先のことよりもこれまで・・・

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