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惜別球人2020

上本博紀 引退惜別インタビュー 夢の中にいた感覚 「(自分の体を)うまくコントロールできなかったというのは、能力がなかったから」

 

チームNo.1の身体能力の持ち主でもあった。小さい体ながら、俊敏な動きはもちろん、パワフルな打撃も見せた。しかし、度重なるケガに泣かされた。2018年の走塁での故障から復帰後も、思うような動きができず、昨季限りで戦力外となり現役引退を決めた。今は子どもたちへ、素晴らしい野球人生だった自分の経験を伝えている。
取材・構成=椎屋博幸 写真=BBM、阪神球団提供

独特の構えから、鋭い打球を放つなど、身体能力に優れ虎ファンの人気も高かった


覚悟していた戦力外


 現役時代のグラウンドで見せた、鋭い眼光から、おだやかな表情に変わっていた。阪神が経営する子ども向け野球教室のタイガースアカデミーでジュニアコーチとして、新しい人生を歩み出した。現役への未練は立ち切ったという上本は、11年間の現役生活は夢の時間だったと振り返る。

──現役引退を発表後、阪神のアカデミーで子どもたちに1月から野球を教えているそうですね。もう慣れましたでしょうか。

上本 最初は不安だらけでしたが、1カ月ほど経過して、徐々に楽しくなってきました。子どもたちはかわいいですし、周りのスタッフも知っている方が多いので、楽しくやっています。

──現役のときの感覚はまだどこかに残っていますか。

上本 もう完全にそういうものはないですね。引きずっていることもないです。子どもと接するときは、優しい雰囲気も出さないとなあ、と思ったりしていますね。現役時代、グラウンドでは「戦う」という強い意識があったので、厳しい表情に自然になっていましたけど(笑)。

──ちなみに引退を決めたのはどういうタイミングだったのでしょうか。

上本 戦力外の話をされた後すぐ、アカデミーの話をもらっていました。そのときは「いつまでも返事は待っています」と言われたんです。私の中では“トライアウトが終わって1週間後までにオファーがなければ、引退”という気持ちでいました。それで(オファーがなく)昨年の12月14日くらいに最終的に決めたという感じでした。

──そこでスパッと決めることができたのですね。

上本 アカデミーの方に何度も何度も誘ってもらい、さまざまな話をしてもらう中で、心を打たれました。そのような経緯の中で、他球団からのオファーはなかったので、現実をしっかり受け止めようという気持ちがありました。そう考えた上で、引退を決めました。

──ファンはまだまだ現役でプレーできると思っていたはずです。

上本 (2018年に試合中のケガで左ヒザ手術)ケガもあって、そこから2年間、まったく成績を残せなかったですし・・・・

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惜しまれながらユニフォームを脱いだ選手へのインタビュー。入団から引退までの軌跡をたどる。

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