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惜別球人2021

西浦颯大 引退惜別インタビュー これからも、ずっと 「一番最初に復活すればカッコいいじゃんって」

 

2020年、難病『特発性大腿骨頭壊死症』を患って育成契約となり復帰を目指したが、昨年9月、22歳にしてユニフォームを脱ぐ決断を下した。それでも可能性を信じ続ける。「明日、劇的に医療が発達するかもしれない」これからも「夢はプロ野球選手」と言う男の思いは、昨季、チームの優勝に大きな力を与えた。
取材・構成=鶴田成秀 写真=大泉謙也、BBM

2019年の開幕直前、本誌のインタビューでの一枚。俊足巧打の中堅手として将来を嘱望される存在だった


もらった勇気、与えた力


 可能性がある限り全力を尽くした。難病からの復帰を目指す中で届いた多くの声、ナインに向けて自ら発した言葉。野球ができる幸せをあらためて感じつつ、最後まで前を向き続けた中で下した引退の決断は、多くの人の心を動かした。

──間もなく2月です。引退した寂しさ、実感もあらためて湧いてくるのでは。

西浦 実感は引退を決めたときからずっとあります。球団の方たちとお話しさせていただいて、そこで正式に引退が決まってから実感したというか。そもそも手術前から決めていたんですよ。治らなければ引退しよう、と。覚悟は決めていた。だから、仕方ないとも思っているんです。

──リハビリは不安もあったと思います。

西浦 まったくなかったですよ。無理なら無理と思っていたので。もちろん全力を尽くしましたけど。やることをやって、ダメなら仕方ない。そう思っていました。

──振り返ると2020年11月、当初の発表は『疲労骨折』でした。

西浦 それまでケガも骨挫傷くらいしか経験がなくて。だから正直、よく分からなかったのもあるんです。折れているのか、どうなのか。何の痛みなのかなって。それで股関節に詳しい病院で再検査してもらったんです。そうしたら『両側特発性大腿骨頭壊死症(※)』の診断を受けて。

※特発性大腿骨頭壊死症……足の付け根にある大腿骨頭の一部の血流が悪くなり、骨が壊死する病気。原因がはっきりしていない場合、特発性の大腿骨頭壊死症と呼ばれ、厚生労働省の特定疾患に指定されている。

──病名を伝えられてもどんな病気か分からなかったと思います。

西浦 はい。その中で「復帰するのは8割強、無理だろう」と言われたんですよね。でも・・・

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惜しまれながらユニフォームを脱いだ選手へのインタビュー。入団から引退までの軌跡をたどる。

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