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惜別球人2022

中日・平田良介 引退惜別インタビュー 際立った『野球力』「自分の一番の取り柄は何かと言ったら野球力。チームが勝つために必要な選手でいたかった」

 

豪快なイメージとは違って、本塁打はそれほど多くない。足が武器でもなければ、守備の名手でもなかったが、平田のプレーには、ファンをうならせる何かがあった。「まだまだやれる」という思いは消えないが、ドラゴンズ一筋、17年間のプロ野球人生に別れを告げた。
取材・構成=牧野正 写真=BBM


ねじ曲げられた報道


 連絡はなかった。昨年限りで中日から戦力外を告げられたものの、現役続行を希望していた。今季は35歳となるシーズン。しかし他球団から声が掛かることはなく、17年間の現役生活に終止符を打つことになった。最後は自分の意図が伝わらず、誤解された報道もあったが、引退が決まった現在は気持ちもすっきりと落ち着いている。

──最終的に引退を決断したのは、いつのことでしょうか。

平田 12月26、27日あたりの年末ですね。自分の中で年内に声を掛けていただけなければ(引退を)決めていましたので、そこで引退宣言をさせていただきました。

──率直な今の気持ちは?

平田 決めたあとはすっきりしたもんです。声が掛かるのを待つだけでなく、自分から行動も起こしましたし、それで連絡がなかったわけですから納得して引退を決断することができました。できることなら、最後はユニフォームを着て、今まで応援してくださったファンの皆さま、家族や両親にあいさつができれば良かったなとは思いますが。

──「盛大な(引退)セレモニーをやってもらえないから」というのが引退を拒否した理由という報道がありましたが、それは事実ですか。

平田 僕自身も新聞などの見出しを見て驚きました。ちゃんと事実に基づいて報道してくれたマスコミもあったんですが、少し誤解して書かれたというか、うまく切り取られてしまいました。引退を迷っているときに、球団から「これ以上ないセレモニーを用意します、だから引退してください」と言われていたら考えたかもしれませんが、僕は根本的に現役を続けたかった。まだまだやりたいし、やれると思っていました。その例え話のようなものが、なぜか「平田が引退セレモニーを要求している」になってしまって。それだけ聞いたら、やはり印象も悪いですよね。

──そうしたことも声が掛からなかった理由になったかもしれないですね。

平田 でも、そこはもう仕方ない。そういう巡り合わせなのかなと。

──最初に戦力外を告げられたのは立浪和義監督からだったと思いますが、そのときの率直な気持ちは。

平田 面と向かって言われました。正直、覚悟はしていましたけど、やっぱり嫌だなと。野球を続けたいと思いました。

──まさか、でしたか。

平田 別にそうは思わなかったです。昨年は置かれている立場を考えても、結果を残さないといけないシーズンだったと思いますが、それができなかったわけですから。試合途中からの出場だったり、代打の切り札だったり、そういう役割でしたが、そこで期待に応えられなかったですから、そこは仕方がないです。

──NPB以外の選択肢はありませんでしたか。

平田 それはなかったです。いろいろと話はいただきましたけど・・・

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惜別球人

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惜しまれながらユニフォームを脱いだ選手へのインタビュー。入団から引退までの軌跡をたどる。

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