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惜別球人 特別編

近藤一樹(元ヤクルトほか) 引退惜別インタビュー 多くを経験したから悔いがある「ヤクルトで未知な部分を引き出してもらったし、いろいろと勉強になった」

 

独立リーグで投げ続けた近鉄最後の現役投手だった。2020年オフにヤクルトを戦力外に。そこから独立リーグで2年間投手兼コーチとして現役生活を続けた。昨オフ、香川を退団。今ここであらためて現役引退を決めた。NPB19年、3チームを渡り歩き、ケガも経験し、タイトルも獲得。波乱万丈の現役生活だった。
取材=椎屋博幸 写真=松村真行、BBM

現在は小中学生に野球を教える日々。今後野球をもっと勉強したいと考えている


振り返れば、いろいろと


 言葉の端々から謙虚な言葉がついて出てくる。高校3年の夏にエースとして全国制覇。最初に入団した近鉄は消滅。オリックスでは先発ローテ投手で10勝を挙げながら、育成を経験。そしてヤクルトでは最優秀中継ぎのタイトルを獲得。手術も4度経験。波乱に満ちた現役生活だが、近藤本人は「感謝」の気持ちしかない。

――現役でのプロ野球人生に区切りをつけたとお聞きしました。お疲れ様でした。

近藤 ありがとうございます。NPBで19年と独立リーグで2年ですね。近鉄の入団から、消滅、合併でオリックスへ行き、ケガで4年連続手術をして育成契約、支配下になりヤクルトへトレード。本当にいろいろな出来事がありました。あり過ぎて……(笑)。周囲の方々に言われるほど、自分の中ではそこまですごい野球人生だとは思わないんですが、あらためて振り返るといろいろとありましたね。

――近鉄に入団したときは、雰囲気はどういう感じだったですか。

近藤 昭和の雰囲気でした。でも、そういう時代だったかもしれないです。ほかのチームも同じような雰囲気だったかもしれないですし。日大三高からこの年4人、ドラフトで指名を受けましたが、僕が一番、近鉄っぽくない選手でしたね(笑)。

――近鉄、オリックス、ヤクルトの各球団を言葉で表すとどういう感じですか。まずは近鉄からお願いします。

近藤 近鉄は、プロでの基礎を教えてもらった場所です。プロで結果を残さなければ、生きていけないということを教わりました。めちゃくちゃしごかれましたし、自分を追い込まなければいけない、ということを教えてもらった場所です。

――オリックスはいかがでしょうか。

近藤 さまざまなことを経験させていただいたチームです。経験を積んだことで、基礎の次の段階に行かせてもらえました。その中で何度も故障をして、本当は終わった身でしたが、ほかではできないいろいろな経験をさせてもらいました。

――2008年の最終戦では清原和博さんの引退試合で、先発完投勝利、10勝に乗せたのは印象的でした。

近藤 クライマックスシリーズ進出が決まっていて、リリーフ陣を休ませたいという首脳陣の意向があり、僕の体の状態を見ながら、行ける……というのを試合中に知りました。試合途中からリリーフ陣がみんなベンチにいるんですよ。「何しているんですか?」と聞くと「今日、お前完投やから」とか言うんです。だから頑張って最後まで投げました(笑)。

――では、ヤクルトはいかがですか。

近藤 もうここでは・・・

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惜別球人

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惜しまれながらユニフォームを脱いだ選手へのインタビュー。入団から引退までの軌跡をたどる。

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