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惜別球人2023

堂上直倫(元中日) 引退惜別インタビュー 真面目な努力家「引退は迷うことなく、決断できた。来年も今年以上の練習はできないですから」

 

まだまだやれるという声も少なくない中、大好きなドラゴンズで引退することを決めた。山あり、谷ありだった17年間に及ぶ現役生活。レギュラーに定着することはできなかったが、常に全力で準備と努力を怠らない選手だった。
取材・構成=牧野正 写真=宮原和也、BBM

9月18日の引退会見。すがすがしい表情で現役生活17年を振り返った


完全燃焼の17年


 強い決意と大きな覚悟を持って臨んだ2023年は、堂上直倫にとってプロ17年目、34歳で迎えたシーズンだった。しかし結果を残せず、ユニフォームを脱ぐ決断を下した。9月18日に引退会見を行い、10月3日の巨人戦(バンテリン)が現役生活最後の試合となった。八番・二塁でスタメンに名を連ね、2安打を放って地元ファンから大きな拍手を浴びたが、まだ野球を続けたいという気持ちにはならなかった。試合後の引退セレモニーで兄・堂上剛裕さんから花束とねぎらいの言葉を贈られ、大粒の涙を流し、すべてが終わった。

――引退セレモニーから、かなり月日が経ちましたが、選手時代と比べて気持ちに変化はありますか。

堂上 今は秋季練習中(11月中旬の取材)で守備(走塁)コーチをやらせていただいていますからね。これまでは自分のことを第一に考えていたのが、これからは若い選手、ほかの選手たちのためにということで、そこが大きな違いです。

――引退してすぐにコーチとなって、ゆっくり現役時代を振り返ることもできなかったですね。少し休みたかったのでは?

堂上 いや、そこまで振り返るようなこともなかったですから。今は今でしっかりと気持ちを切り替えてやっています。休みたい気持ちも別になかったですし、野球をしていたほうが楽しいですから。

――あらためて引退への思い、経緯を教えてください。

堂上 今年はなかなか上(一軍)に上がれず、最初に上がったのが8月(23日)でした。それでもすぐに登録抹消(9月1日公示)となって、そこで決断しました。今年は結果を出すしかないと思っていましたし、それができなかったらという気持ちも固めていましたから。

――難しい決断でしたか。

堂上 いや、そんなことはありません。また来年も今年と同じように、いや今年以上に練習できるかと言ったら、たぶんできないんじゃないかと思いました。そこが一番でした。今年にかけていた部分があり、結果が出なかったわけですから。

――悔いはありませんか。

堂上 全然ありません。本当に自分の中で、やり切ったという思いがありますから。

――それでも最終試合ではスタメンで2安打を放ちました。

堂上 あれはたまたま。そこはあまり関係ないですね。それに本当にまだやれるのなら、その前にきっと打てているはずです。

――他球団でプレーすることは考えませんでしたか。

堂上 それはまったくなかったです。これだけ長くドラゴンズに面倒を見ていただいて感謝しかないですし、それにたとえ他球団に行ったとしても、もうこれ以上、練習はできない、頑張れないと思いました。

――引退セレモニーでは兄・剛裕さん(現球団職員)の姿もありました。花束を渡されたとき、何と声を掛けられましたか。

堂上 最後のほうは・・・

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惜しまれながらユニフォームを脱いだ選手へのインタビュー。入団から引退までの軌跡をたどる。

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