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2020ドラフト指名選手クローズアップ

阪神8位・石井大智(四国IL・高知/投手) 153キロ右腕がつかんだ「高知」との深い縁

 

コロナ禍のドラフトで12球団から指名を受けたのは、育成枠を含めて計123人。公式戦の機会が少なく、アピールする場も限られたが、夢の扉をたたいた、新たなステージへ向かう選手を紹介。支配下の最終74番目で指名された右腕である。

10月26日、阪神から指名された直後の記者会見で、ホッとした表情を見せた[左から武政重和球団代表、石井、吉田豊彦監督]


 ドラフト会議が始まってからも、緊張感はまったくなかった。石井大智が急激に焦りを覚え始めたのは、指名が4位に入ったころからである。

 シーズン中から、指名を受けた選手の喜びの瞬間ではなく、あえて、指名漏れの動画を見ることが多かった。

「その地獄みたいな展開を見ておかないと、そこに対しての心構えというか。そこは絶対に必要だなと思っていたので」

 オレがこうなったら、どういう気持ちになるんだろう? そう考えていた。

 いま、その地獄の一歩手前にいる。

 残り2球団となり、阪神8位。ファンが待っている隣の会場から、大きな歓声が上がった。「石井大智」という名前が一瞬、誰か他人の名前のように感じられた。会議終了後、いち早く行われた囲み取材中も、足の震えが止まらない。

 ドラフト最終指名となった74人目は、昨年、西武から8位で指名された徳島・岸潤一郎とまったく同じである。2019年の北米遠征で、ともに四国リーグ選抜メンバーとして戦った仲でもあり、いまでも親交が続いている。

「今年も、岸さんには電話をいただいたりしていました。なんかちょっとかぶるというか、指名の最後ということで。もちろん指名されたことはうれしいですけど、順位には満足できないです。指名順位に関係なく、成績を残して、1日も早く一軍に上がれるように頑張っていきたいと思います」

 四国リーグで2年目となった昨年から、「高知のエース」として目覚ましい活躍を見せている。1試合で何度もたたき出す最速149キロのストレートと、鋭く落ちるシンカーを武器に、奪三振王(122奪三振)のタイトルを獲得した。

 だが、NPBからの調査書は・・・

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ドラフト指名選手クローズアップ

ドラフト指名選手クローズアップ

ドラフトで見事に指名を勝ち取った選手たちに焦点を当てる短期集中連載。

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