一冬を越えた今春、プロスカウトへ猛アピールするはずだった。ところがチームの不祥事による対外試合出場停止により、処分空けは大阪大会前日(7月11日)となった。つまり、練習試合での経験を踏まないまま、最後の夏に挑むことになる。実戦勘が不安視されるところだが、甲子園への強い思いでカバーしていく。 指揮官が認めた巨人・今村以上の才能
誰もがまだその力を計りかねている。監督も、スカウトも、何より本人も。「今の時点で真っすぐの力なら、今村以上でしょう」。仲辻宏之監督がそう言ったのは昨年の春先。3学年先輩の
巨人・
今村信貴よりも一回り大柄な身体から、確かに魅力的なストレートを投げていた。実力の片鱗を実戦で見せたのは直後の大阪大会。初戦、3回戦にも先発したあとの金光大阪高との準々決勝。
「夏のメーン球場、舞洲(ベースボールスタジアム)の雰囲気を経験させたい」という仲辻監督の思いを受けて先発。結果は、球がばらつき、試合中盤で降板。スタミナ不足、不安定なフォーム、走者が出てからの投球……と課題をいくつも残した。しかし、時折、見せた力強い真っすぐで、島原達也が十分な素材であることも示した。その時点でまだ、2年春。そこから夏、秋、そして最終学年へ……、楽しみは広がり、つながっていくはずだった。が、そうはならなかった。
「今村は1年から2年、3年、さらに3年夏が終わってからも順調に伸びた。最後の夏が終わってから球速も149キロにまで上がりましたし。でも、島原の方は良くなってきたかなと思ったら、落ちて、また上がったと思ったらまた落ちて。われわれも歯がゆい思いを感じ続けています」
期待された2年夏はベンチから外れた。春の大会後、「疲れとたぶん上体に頼っていたフォームの影響」(島原)でヒジに違和感が出た。診断の結果、剥離骨折の一歩手前の状態と分かり、夏を経験できずに終わると、実戦復帰の秋は大阪大会で初戦敗退。ここでは先発したが5者連続四球などの大乱調で1回途中ノックアウト。周囲の期待も、大会を重ねるごとに力なくしぼんでいった・・・
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