好きな投手が東北楽天・則本昂大。まさしく、気持ちで押していくスタイルが持ち味だ。同校OBで2学年先輩の巨人・岡本和真らが出場した2年前の夏の甲子園もベンチ入り。聖地のマウンドも経験しており、今春のセンバツでは、成長した姿を見せる。
取材・文=沢井史、写真=BBM

昨秋の近畿大会準々決勝は記憶にないほどの9失点

　今春のセンバツは「好左腕の大会」という呼び声もあるが、右腕の中で存在感を見せつける逸材も少なくはない。大会の注目選手としてはまだ目立った存在ではないが、名門・智弁学園高で1年秋からエース番号を着ける村上頌樹投手がその1人だ。

　1年春からベンチ入り。その夏の甲子園の明徳義塾高(高知)との1回戦では、救援で4番手投手として聖地のマウンドを経験している。

「レフトの守備からマウンドに立ったんですけれど、緊張するかと思ったら、そうでもなくて……。終わってみたら楽しかったです。1球投げるたびに大きな歓声が上がっていて、すごく気持ち良かったです。甲子園のマウンドは投げやすかったイメージがあります」

　そのマウンドではストレートは130キロ後半を計測。2/3回を投げ、三振も奪っている。昨秋の県大会では大和広陵高との初戦で14奪三振、御所実高との3回戦では6者連続三振を奪うなど、着実にキャリアを積み重ねてきた。

　だが、村上の心の中に今でも影を落としているのが、大阪桐蔭高との近畿大会準々決勝だ・・・