週刊ベースボールONLINE

ドラフト逸材発掘

安岡将妥(室戸高・投手) 高知・黒潮に潜む143キロ左腕

 

中学時代は3番手投手。昨夏は背番号「13」。そんな異色の経歴を持つ男が今春「四国高校球界最速左腕」の話題を集めている。9年前にセンバツで旋風を巻き起こした室戸高のサウスポー。そんな苦労人が「高卒プロ入り」を目指す理由とは……。
取材・文=寺下友徳、写真=前島進

今春の高知県大会1回戦[対高知丸の内高]で24奪三振をマークしながら、チームは延長12回の末に敗退[2対3]。打線の援護があれば、夏の甲子園初出場も見えてくる


「人生が変わった」土佐高戦での熱投


 2015年7月25日。高知県立春野運動公園野球場には、多くのNPBスカウトが詰めかけていた。そのお目当ては高知高専との2回戦で、救援で1/3回を抑えた高知中央高の左腕・日隈ジュリアス(現東京ヤクルト)だった。ただ、続く第2試合まで残ったスカウトは、日隈のスケール感を上回る「ビッグサプライズ」を目撃することになる。

 その主人公は1年秋からの試合経験と、「高校入学時から回転数を意識して取り組んできた」キャッチボール。さらに夏前の個別下半身強化の礎を手に、6回から土佐高(県大会2回戦)に立ちはだかった室戸高の当時2年生左腕・安岡将妥である。「変化球はまったく頭になかった」と2本指を重ねて投げる独特のストレートは140キロ前後でクロスファイヤーが突き刺さる。チェンジアップ気味に縦へ落とし、パームの握りで横に流す2種類のスライダーも名門を圧倒する出来。背番号「13」の熱投にスタジアムは騒然となった。

 最後は9回裏に4連打を浴び、逆転サヨナラ負けを喫したが、インパクト十分。中学時代は3番手。07年センバツで8強進出を果たした室戸高進学の理由も「自宅から近い」とごく普通の高校球児だった安岡将は140キロを連発して最速は142キロ。00年横浜ドラフト4位指名の宿毛高・東和政以来の公立校高卒ドラフト候補出現を告げる、ド派手なものに。「こんなに球速が出るとは思わなかった」と本人の言葉を借りればまさに「人生が変わった瞬間」であった・・・

この続きはプレミアムサービス
登録でご覧になれます。

まずは体験!登録後7日間無料

登録すると、2万本以上のすべての特集・インタビュー・コラムが読み放題となります。

逸材発掘!ドラフト候補リサーチ

逸材発掘!ドラフト候補リサーチ

プロを目指す逸材を発掘し、その横顔とプレースタイルを紹介する読み物。

関連情報

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング