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島孝明(東海大市原望洋高・投手) 遅れてきた153キロ右腕

 

今春の関東大会で150キロを連発して一躍、ドラフト上位指名右腕として脚光を浴びる存在となった。それもそのはず、150キロ台のスピードボールは、注目されることを意識して“狙った”数字だったからだ。それを可能にしたフィジカルは、本人が積み重ねた努力の賜物。今夏、甲子園最速の称号に挑むための戦いが幕を開ける。
取材・文=上原伸一、撮影=井出秀人


“大台突破”で初めて意識、別世界だった「プロ」の2文字


 もしかしたらなれるかも──。東海大市原望洋高の島孝明の頭に初めて「プロ」の2文字がよぎったのは、今春の千葉大会3回戦(対市船橋高)の後だという。この試合で島のストレートは153キロを計測。2週間ほど前に浦和学院高との練習試合で記録した152キロを上回る自己最速だった。

「それまでは考えたこともありませんでした。自分とは別世界の人が行くところだと思っていたので」

 この春、島の状態は万全ではなかった。2月に左足首をねん挫した影響で投げ込みが不足していたのだ。それでもリリーフに回った県大会では、4試合、計8回を投げて1失点と役割を全うした。三振も16奪って、3年ぶり3度目の優勝に貢献した。圧巻だったのは関東大会の初戦(2回戦)である。5回から登板した島は150キロを連発し、9回までの5イニングで石岡一高から毎回の10奪三振。10球団24人と報じられたネット裏のスカウトの前で潜在能力の高さを見せつけた。「入ってきたときはここまでの投手になるとは思いもしませんでした」と言うのは相川敦志監督だ。東海大市原望洋高を率いて30年目となる相川監督はこれまで眞下貴之(元横浜DeNA、現新日鐵住金かずさマジック)や長友昭憲(現JFE東日本)といった好投手を育てている。入学当時の最速は139キロ。島はそこから約2年で14キロ上積みした。

 相川監督の入学時の見立てをよそに島にはある目標があった。それは高校で150キロを出すこと。理由はいたってシンプルだ・・・

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