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中川虎大(箕島高・投手) 夢を見る価値がある“超素材型右腕”の可能性

 

公立校で唯一、甲子園で春夏連覇を遂げているのが箕島高(和歌山)だ。春夏通じ甲子園通算35勝の名将・尾藤公氏(故人)の長男・強氏が2013年3月から母校を率いる。同夏以来の甲子園出場へ、本格派右腕・中川虎大が伝統校で存在感を示す。
取材・文=谷上史朗、写真=宮原和也

伝統の「MINOSHIMA」のユニフォームを着用してポーズ。2013年夏以来の甲子園出場へ向け、練習に励んでいる


キャッチボールに立ち戻り制球が安定


「最速146キロ右腕」。中川虎大を一言で表すならこうなる。三振の山を積み上げたようなエピソードはない。大会を勝ち切った実績もない。決め球にできる変化球は模索中……。可能性を感じるのは4、5年後に、夢を見たくなるストレートだ。

「まだまだですけど、指にかかったときの真っすぐはちょっと自信があります。特にアウトコース低めは、打者からは遠く見えると言われます」

 ただ、持ち味であるはずの真っすぐも、しばしば暴れ、指のかかり、リリースも不安定。今春の県大会2回戦(対那賀高)ではプロ数球団のスカウトが注目する前で5回10失点。先頭打者に一発を浴びると、そこから四球、四球、安打、安打、野選、安打、安打……。3つのアウトが取れず、初回にまさかの6失点である。

「スーッとストライクを取りにいった真っすぐをホームランされて、そこで力が入ってしまった。とにかく、内容が悪過ぎて恥ずかしかったです」

 球速だけで言えば140キロはアベレージで超え、最速は確認できた範囲で2度あった146キロ。しかし「力が入って球の質が全然でした」と言うとおり、力んだフォームからのストレートに打者は苦もなくタイミングを合わせ、弾き返した。5回にも4点を奪われたところで降板となり、試合も7回コールド、2対10での大敗。夏へ向けた力試し、スカウトへ向けたアピール、エースとしてチームの信頼を積むはずの舞台は、屈辱の中で終わった。

 ただ、まだ春。取り返す機会は残っている。立ち戻ったのは、野球の基本だった。

「次の日からキャッチボールからやり直しました。足を踏み出して、体重移動をして、腕を振って、一つひとつの動作をゆっくり確認しながらやるようになりました」。光が差したのが5月3日、大分から遠征してきた佐伯豊南高との練習試合。ここで先発し、2安打、10奪三振、2四球で完封。球数も116球で投げ切った。

「あの試合は、ボールが指にかかっていました。バックネットへのファウルも多くて、空振りも取れた。感覚的にはこれまで投げた中で、一番くらいの感じでした」

 取材時点では「感覚は続いています」とのことだったが、一方では・・・

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